馬産地コラム

クーリンガーを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 2010年12月10日
  • クーリンガー~1
    クーリンガー~1
  • クーリンガー~2
    クーリンガー~2
  • クーリンガー~3
    クーリンガー~3

 500キロを優に超える巨体から繰り出すスピードは、速さを感じさせない速さで実績を積み上げていった。3歳から9歳の春まで61戦。JRAで32戦、地方競馬で29戦。長い競走生活の、約半数のキャリアを全国の交流競走で記録している。通算勝利は10勝。先頭ゴールインも中央、地方で仲良く5勝ずつ分け合った。

 JRAの競馬場も全10場のうち8競馬場を走破。地方競馬場に至っては南関東、金沢、盛岡、名古屋など。佐賀競馬場で行われる佐賀記念(G3)は5回も出走した。日本中を渡り歩いて日本中のファンに愛された。その当時から真っ白だった馬体は、キャリアを詰まれるごとに、さらに輝きを増していた。

 「大きな芦毛馬ってこともあるんでしょうけど、なんかいい味を持った馬なんですよね」と優駿スタリオンステーションの山崎努主任がいう。その視線の向こうで、真っ白な馬体が朝の陽射しを浴びてまぶしい。「たまに寝てたりしますけど、いつも、きれいな馬です。あんまり砂浴びとかは好きじゃないのかもしれません。オシャレなんでしょうかね」と笑った。「普段はおとなしい馬です。おとなしいというよりもぼーっとしているという方が正しいかな」。人間に例えれば、明らかな“癒し系”だという。だから、スタッフからも愛されている。

 “サイアー・オブ・サイアーズ”フォーティナイナーの産駒の重賞6勝馬。見どころがないわけではないが、3年間の種牡馬生活での種付頭数は27頭にとどまっている。数だけみれば、決して多いとはいえないが、オーナーの所有馬を中心としているから“質”には恵まれている。「普段はおとなしい馬なんですが、種付けのときだけは凄いですよ。この馬が持っている秘めたパワーみたいなものを感じます」という。そうして生まれた産駒を連れて種付けにやってくる生産者もいる。

 「何頭か産駒を見ましたが、クーリンガー譲りと言いますか、骨太でゴツいタイプが多いと思います。パワーなんかもありそうで、父親の良いところを受け継いでいると思います」とアピールする。その初年度産駒は、いよいよ来春にデビュー年度を迎える。