馬産地コラム

ダイナマイトダディを訪ねて~十勝軽種馬農協種馬所

  • 2010年04月15日
  • ダイナマイトダディ
    ダイナマイトダディ
  • 同

  • 同

  • 放牧地へは1番先に出し入れしないと気が済まないタイプ
    放牧地へは1番先に出し入れしないと気が済まないタイプ
 十勝の幕別町にある十勝軽種馬農協種馬所へダイナマイトダディ(社台ファーム生産)を訪ねた。2007年に種牡馬生活を引退し、現在は功労馬として余生を過ごしている。

 ダイナマイトダディを管理している中川郁夫さんに近況を伺うと、「こちらにきて3年目となりますが、すっかり環境にも慣れて体調は良好です。よく食べますし、年齢を感じさせないほど元気ですね。」と、健在の様子だ。雪解けしつつある放牧地へ会いに行くと、四白流星の馬体は若々しく感じた。メンタル面について伺うと、「気性は荒いですね。臆病なところもあります。」と、中川さん。馬房から放牧地に出していく時は注意しているという。

 現役時代は12戦6勝の成績を残した。デビュー3戦目に駒を進めた朝日杯3歳ステークス(G1)では、現在共に暮らしているリンドシェーバーに敗れたものの、5着に善戦。4戦目の京成杯(G3)で重賞初制覇を飾り、父サクラユタカオーへ産駒初の重賞タイトルをプレゼントした。

 骨折のためクラシックを棒に振ってしまったが、長期休養を乗り越え、古馬になって中山記念(G2)、京王杯スプリングカップ(G2)を優勝。1992年の安田記念(G1)では2番人気の支持を受け、勝ち馬ヤマニンゼファーから0.3秒差の5着に入り、強豪馬相手にも十分に戦える能力の高さを示した。しかし、期待が膨らんだ矢先またも骨折が判明し、G1制覇への道は閉ざされてしまった。

 種牡馬としては数少ない産駒の中からリトルダンサーが中央で5勝を挙げ、重賞レース出走も果たした。また、ホッカイドウ競馬ではピクシーストーンが2006年の春霞賞(H3)を制す活躍を見せている。

 母の父としてはショウナンカザンが豊かなスピードを武器にオープン馬に出世。今年のシルクロードステークス(G3)では2着に好走し、春の短距離G1、高松宮記念(G1)にも参戦した。ダイナマイトダディの快速ぶりを思い起こさせる頼もしい存在だ。

 22歳となった今も、関東地方を中心に北見、釧路、新潟、宮城など、全国からダイナマイトダディ目当ての見学客が訪れているという。

 「バレンタインにはチョコレートを送ってくる方もいますよ。ダディは本当にファンの多い馬ですね。これからも健康で長生きして欲しいです。」と、中川さんはエールを送る。十勝の大自然の中で沢山の愛情を受け、自慢のルックスが一層輝きを増している。
取材班