馬産地コラム

ネーハイシーザーを訪ねて ~ 浦河 大道牧場

  • 2009年03月12日
  • 大道牧場本場外観
    大道牧場本場外観
  • 強靭な足腰を見せるネーハイシーザー
    強靭な足腰を見せるネーハイシーザー
  • ネーハイシーザー
    ネーハイシーザー
  • 同

 現役時代は快速馬としてならし、3度のレコード勝ちを含む重賞4勝。1994年の天皇賞(秋)では同期のダービー馬ウイニングチケットと、菊花賞馬ビワハヤヒデを破りGⅠ馬の仲間入り。サイン派の競馬ファンからは「第110回天皇賞」をなぞらえて「百獣の王(百十の王)」と呼ばれた“獅子”ネーハイシーザーを生まれ故郷の浦河町の大道牧場を訪ねた。

 大道牧場のある浦河町杵臼地区は海沿いの国道235号から、十勝方面へと通じる国道236号(天馬街道)を北に7kmほど行った場所に位置し、近年の最強馬テイエムオペラオーを生産した杵臼牧場があることでも有名だ。日高幌別川を挟んだ西舎地区には、BTC(軽種馬育成調教センター)の広大な調教施設が広がり、日高山脈を背にした広大な景観が広がる。

 毎年熱心なファンの訪問を受けているネーハイシーザーだが、現在は少し離れた大道牧場分場に移動して暮らしている。

 場主である大道数美さんに案内していただき、分場のネーハイシーザーを拝見させていただいたが、今年19歳を迎えるとは思えない若々しさで出迎えてくれた。“立ち姿”を撮影させてもらおうと、放牧地から出してもらったのだが、二足歩行で本当に“立ち上がり”元気な足腰を見せてくれた。

 まさに“獅子”を思わせる獰猛な姿に、筆者も逃げ腰になってしまったのだが、撮影を終えて放牧地に放してもらうと一転して態度が豹変した。「出し入れと馬房の中では落ち着かない馬ですが、放牧地では馬鹿ついて走り回ることも無く大人しいんですよ。」とのこと。とにかくマイペースで他人に合わせるのは嫌いなようだが、自由に振舞える放牧地の中ではファンに人懐っこい態度で接してくれるそうだ。

 5月から10月下旬にかけては24時間の昼夜放牧を行い、自由気ままに暮らしているそうだが、この時期は早朝6:00頃から15:00くらいまでの放牧を行っている。寒い季節でも馬着は着用しないそうだが、暖かい冬毛に覆われて健康状態はすこぶる順調。「蹄のケアは欠かさないようにしています。」と語る数美さんだが、蹄に問題が無ければ馬もストレス無く放牧地で歩き回ることが出来、体力維持や内臓などの健康にもつながるということらしい。中高年にお勧めの“ウォーキング”を実践しているというべきか。

 見学者は昔からのリピーターが多いということだが、最後にご注意を一つ。今後は本場から離れた分場での見学になるので、見学条件の詳細は「ふるさと案内所」にて必ず確認してもらいたいとのことだ。

                日高案内所取材班