重賞ウィナーレポート

2018年03月03日 オーシャンS G3

2018年03月03日 中山競馬場 晴 良 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:キングハート

プロフィール

生年月日
2013年05月07日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:24戦6勝
総収得賞金
197,108,000円
オレハマッテルゼ
母 (母父)
ラブハート  by  マイネルラヴ(USA)
馬主
増田 陽一
生産者
奥山 博 (新冠)
調教師
星野 忍
騎手
北村 宏司
  • 母ラブハート
    母ラブハート
  • 今年はアドマイヤムーンの産駒を出産予定
    今年はアドマイヤムーンの産駒を出産予定
  • 初重賞を祝う垂れ幕も
    初重賞を祝う垂れ幕も
  • 牧場入り口
    牧場入り口

 関東で行われる高松宮記念(G1)のステップレースとしてすっかり定着した「第13回オーシャンステークス(G3)」が3月3日に中山競馬場で行われ、10番人気の伏兵キングハートがゴール前の大混戦を頭差凌いで優勝。6度目の挑戦で辿り着いた重賞制覇は、同馬を生産した奥山牧場にとっても初JRA重賞タイトルとなった。

 出産シーズン真っ只中ということもあり、自宅で勝利を見届けたという奥山牧場の奥山博さんは「これまでも重賞で惜しいレースがありましたし、調子がいいとは聞いてましたが本当に勝ってくれるとは…牧場としても開場以来初めての重賞だったので嬉しい限りです」と喜びを隠しきれない様子だった。

 キングハートの母ラブハートは4勝の勝ち鞍すべてが芝1200mという快速馬で、引退後に奥山牧場で繁殖入りし、2番目に生まれたのが同馬だったそうだ。

 「母ラブハートも現オーナーが走らせていた馬で、ご縁があってウチで繁殖として預からせて頂くことになったんです。マイネルラヴ産駒ということもあってか、とにかく気性の上下が激しくて、普段は大人しいのですがちょっと気分を損ねると種付けにも支障が出てしまうんですよ」

 そんなラブハートの2番仔として生まれたのが父に高松宮記念(G1)を制したオレハマッテルゼを持つキングハートだったのだが、当時の印象を奥山さんに聞くと「配合はオーナーからのリクエストだったのですが、牧場にいた頃は他の馬との比較でも小さ目で、そこまで目立つような存在ではなかったんですよ。『450キロくらいで走れたらいいかな』くらいに思っていたんですけどね」

 その後キングハートは美浦の星野忍厩舎からデビュー。3戦目の芝1200m戦を勝ち上がり、以後も短距離を中心にコツコツと勝ち星を積み重ね、4歳2月に斑鳩ステークスを制してオープン入りを果たすと、夏の函館スプリントステークス(G3)ではあと一歩及ばずの2着。この時は家族で函館競馬場まで駆けつけたのだそうだ。「ちょうどお産と種付けがひと段落しましたし、地元で重賞、しかも勝ち負けできそうな機会は滅多にないですからこの時ばかりはと思い応援に行きましたが、なかなか上手くいきませんね」

 そう苦笑いする奥山さんだが、ここにきてキングハートの活躍にとどまらず、半妹で明け3歳のラブカンプーがデビューから堅実に走ってすでに2勝。桜花賞(G1)トライアルのフィリーズレビュー(G2)に挑戦(結果は11着)とラブハートの産駒からは今後ますます目が離せないそうだ。「今年デビュー予定の2歳はエスポワールシチーの牝馬ですが、育成場でも良い動きをしてると聞いているので今から楽しみにしています。さらに春にはアドマイヤムーン産駒を出産予定なので、まずは無事に生まれてきて欲しいです」

 今回の勝利で高松宮記念(G1)の優先出走権を手に入れたことにより、次走は父子2代の同一G1制覇に挑むことになるキングハート。種牡馬としての成功が渇望された矢先に若くしてこの世を去った父の名を高めるべく活躍を期待したい。