重賞ウィナーレポート

2016年01月31日 シルクロードS G3

2016年01月31日 京都競馬場 晴 稍重 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ダンスディレクター

プロフィール

生年月日
2010年03月20日 06歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:16戦6勝
総収得賞金
283,870,000円
アルデバランⅡ(USA)
母 (母父)
マザーリーフ  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
太田 珠々子
生産者
藤原牧場 (静内)
調教師
笹田 和秀
騎手
浜中 俊
  • 事務所入り口に鎮座する牧場勝負服のジョッキー人形
    事務所入り口に鎮座する牧場勝負服のジョッキー人形
  • 事務所にはスターロッチの肖像画と血統書が飾られている
    事務所にはスターロッチの肖像画と血統書が飾られている
  • スターロッチ系の繁殖牝馬エアデヴォン(牝12、父アグネスタキオン)
    スターロッチ系の繁殖牝馬エアデヴォン(牝12、父アグネスタキオン)
  • 母はウイニングチケットの全妹リボンストライプ。期待の後継繁殖だ
    母はウイニングチケットの全妹リボンストライプ。期待の後継繁殖だ

 第1回勝ち馬のフラワーパーク、シーキングザパール、マイネルラヴやジョーカプチーノ、ロードカナロア、ストレイトガールといったG1馬たちが優勝馬に名を連ねるシルクロードS(G3)。レースは、2番人気のダンスディレクターが中団待機から4コーナーを周ると最内から抜け出し、逃げるローレルベローチェを捉えて重賞挑戦4戦目で初勝利を飾った。

 ダンスディレクターの故郷は、新ひだか町静内の藤原牧場。牧場の歴史は古く、3歳牝馬として第5回有馬記念を制するという偉業を成し遂げた名牝スターロツチをはじめ、1977年の皐月賞馬ハードバージ、1986年の天皇賞(秋)(G1)勝ち馬で、種牡馬としても数々の名馬を送り出したサクラユタカオー。1987年の皐月賞馬サクラスターオー、ダービー馬ウイニングチケット、皐月賞(G1)2着のロイヤルタッチ兄弟など、大舞台に強いスターたちを生産してきた。現在は25頭の繁殖牝馬を、藤原悟郎代表のご子息である圭太郎さんを中心に8人のスタッフで飼養している。

 レース当日、藤原代表は競馬場へ足を運び、圭太郎さんは事務所のテレビで観戦した。「パドックを見たとき、あ、これはイケるかもと思いました。とても落ち着いていて、安心して見ていられるというか…。レースがスタートした後は無我夢中でよく覚えていませんが、改めて動画を見直してみると、全て上手くいったという印象でしたね。最内でロスなく脚を溜められたこと、直線で前が開かなかったらダメだったし、勝つ時ってこんな感じなんですね」と笑顔を広げた。

 ダンスディレクターは、サクラユタカオーやウイニングチケット兄弟と同じく、牧場の根幹牝馬であるスターロッチを祖とする牝系を持つ。「いずれ爆発する時が来る」と大切に繋いできた血統だけに、思い入れもひとしおだ。

 「ダンスディレクターの母、マザーリーフはとても小柄な馬で、大柄で馬格がしっかりしているアルデバランⅡを配合相手に選んだと聞いています。ダンスディレクター自身も牡馬にしては小さい方でしたが、この血統らしい、バランスの良い綺麗な馬でした。当歳の頃は放牧地をピョンピョン跳ね回る姿が印象的で、その素軽さから“鹿みたい”と話していたことを思い出します」と回想した。

 6歳にして16戦6勝という戦績が表しているように、無理せずゆっくり階段を登ってきたダンスディレクター。この血統を数多く手がけ、知り尽くしている調教師、オーナー故の判断に、圭太郎さんも絶大な信頼を寄せている。

 「オーナーはステップを大事にする方なので、ここまで来れたのだと思います。次のステップはG1になると思いますが、この馬の強みは瞬発力と、それを持続できる精神力。持ち前の負けん気を生かして上を目指して欲しいですね」。圭太郎さんにとっても祖父の代から受け継ぎ、繁栄を続けてきたスターロッチ系。牧場の至宝から誕生した新星に並々ならぬ思いを寄せていた。