重賞ウイナーレポート

2013年11月30日 ステイヤーズS G2

2013年11月30日 中山競馬場 晴 良 芝 3600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:デスペラード

プロフィール

生年月日
2008年02月27日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:28戦7勝
総収得賞金
323,976,000円
ネオユニヴァース
母 (母父)
マイネノエル by トニービン(IRE)
馬主
市川 義美
生産者
田中 裕之 (静内)
調教師
安達 昭夫
騎手
横山 典弘
  • デスペラードの母マイネノエル
    デスペラードの母マイネノエル
  • 生産者の田中裕之さんと
    生産者の田中裕之さんと
  • 牧場の厩舎
    牧場の厩舎
  • 新ひだか町静内浦和に牧場を構える
    新ひだか町静内浦和に牧場を構える

 現役屈指のスタミナ自慢が集うマラソンレース、ステイヤーズS(G2)は5歳馬デスペラードが好位から抜け出し、1番人気に応えて快勝。10回目の重賞トライで、見事初重賞制覇を果たした。

 本馬の生産者は新ひだか町静内に牧場を構える田中裕之さん。過去には2007年の中山大障害(JG1)優勝馬メルシーエイタイムをはじめ、アルゼンチン共和国杯(G2)2着の実績があるシオフネ、準オープンクラスで活躍中のオマワリサン、南関東の重賞馬ジョーメテオらを生産している。繁殖牝馬は20頭で、スタッフ4名が働いている。

 師走の中山にファンファーレがこだまする中、田中裕之さんは競馬場にいた。5番手からレースを進める生産馬の姿をじっと追いかけ、約4分後に訪れるかもしれない、牧場初の平地重賞制覇の瞬間を願っていた。

 「パドックでは毛ヅヤが冴えていて、調子の良さを感じました。今回はいつもより前目の位置でしたが、楽に追走していましたね。長丁場ですが、直線で抜け出す時の脚は鋭いものでした。レースに勝つには運も必要ですし、何もかも連携がうまくいかないと難しいことですからね。この結果はこの馬に携わった全ての皆さんのおかげだと思っています。」と、喜びの胸中を吐露する。

 関係者勢揃いの表彰台では、レースの感動ともう一つの思いが頭をよぎった。「私自身、メルシーエイタイムでJG1の表彰台に立った時に、また重賞馬を生産してこの場に立とうと決めていました。今回、その目標を達成することができました。レース後はお祝いのお花やお電話、メールなどを沢山いただき、牧場のスタッフも大変喜んでいます。」

 長い長いレースの先に、6年前に誓ったゴールも待っていた。

 その6年前_レベルアップする日本馬の質、日本競馬の熾烈な争いを眺めて、田中さんはふつふつと「これからの時代、トップクラスの血統の馬を生産しなければ」という思いを強くしていた。一流種牡馬の面々を交配し始め、そうした戦略の中で本馬の産声は上がった。

 「以前より大胆に種付料をかけた翌年の世代でした。希望を膨らませていた矢先、生まれてきた仔は牝馬の連続で、デスペラードが唯一の牡馬。思い切って勝負を打った最中、極端に牝馬ばかりの世代となり、当時は不安を覚えながら毎日を送っていました。」と、若干表情を曇らせた田中さん。毎年の出産時期、生産者同士が顔を合わす時はきまって、「牡と牝が何頭できたか」が話題になる。その時の田中さんの心中たるや、想像するにも辛いところだ。

 父ネオユニヴァース、母マイネノエル、母の父トニービンという血統の本馬は、母の3番仔として誕生。1歳時にセレクトセールに上場し、1,312万5,000円で取引された。そして、数年後、その15倍以上の賞金を獲得する結果をもたらすことになる。

 「小ぶりでしたが、父母の良いところを受け継いでいました。セレクトセール上場まで順調に育ち、当時から高い素質を感じていました。ネオユニヴァースは種牡馬入り当初から注目していて、牧場の繁殖牝馬とはよく交配しているんです。産駒はクラシック・ディスタンスへの適性が見込め、かたちのきれいな、バランスのとれた馬が出る傾向にあります。デスペラードもそうした面が表れていました。」と、田中さんは牧場時代を回想する。相性の良い種牡馬の産駒で、自信を込めた一頭だったという。

 今年14歳となる母マイネノエルは、田中さんがビッグレッドファームから購入した馬で、2007年から同牧場で繁殖生活を送っている。ここ2年は仔に恵まれなかったが、現在は再びネオユニヴァースを受胎している。田中さんは、「マイネノエルは長くお世話になっている岡田繁幸さんとの縁で、購入することができました。名種牡馬トニービンとブライアンズタイムの血統背景が魅力で、このような素晴らしい繁殖牝馬を売っていただいた岡田さんにも、大変感謝しています。母馬自身は少し気性の強い面があって、放牧地への出し入れの際はトロッターのように動く馬なんです。扱いには少し気を付けています。」と、紹介する。シカも多く生息しているという自然豊かな山奥の放牧地で、静かに6番仔の命を育んでいる。

 名手・横山典弘騎手の進言もあり、本馬の次走予定は有馬記念(G1)。春の阪神大賞典(G2)ではグランプリホース・ゴールドシップに0.3秒差肉薄しており、大一番でも侮れない存在だ。田中さんは、「相当なメンバー相手となりますが、この馬自身の戦法に幅が出ましたし、チャンスはあると思います。良い状態でレースを迎えて欲しいです。」と、ドリームレース出走へ思いを馳せる。前日の中山大障害(JG1)にはメルシーエイタイムも出走を予定しており、2日連続の生産馬G1出走が叶いそうだ。それも、ともに人気を帯びての出走が見込める。平地・ジャンプの最高峰を目がける生産馬の出陣に胸高まる週末。クライマックスにふわさしい走りは、厳しい冬の寒さを吹き飛ばすような、熱気と興奮を運ぶことだろう。


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