重賞ウィナーレポート

2011年11月19日 東スポ杯2歳S G3

2011年11月19日 東京競馬場 雨 不良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ディープブリランテ

プロフィール

生年月日
2009年05月08日 02歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
292,056,000円
ディープインパクト
母 (母父)
ラヴアンドバブルズ(USA)  by  Loup Sauvage(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
パカパカファーム (新冠)
調教師
矢作 芳人
騎手
岩田 康誠
  • 今年誕生したディープブリランテの全弟(2011年11月撮影)
    今年誕生したディープブリランテの全弟(2011年11月撮影)
  • 当歳時のディープブリランテ(2009年8月撮影)(写真提供:パカパカファーム)
    当歳時のディープブリランテ(2009年8月撮影)(写真提供:パカパカファーム)
  • 牧場の看板(厚賀分場)
    牧場の看板(厚賀分場)
  • 起伏に富んだ放牧地(写真提供:パカパカファーム)
    起伏に富んだ放牧地(写真提供:パカパカファーム)

 毎年素質馬が集う2歳重賞、東京スポーツ杯2歳S(G3)はディープブリランテが前評判に違わぬ強さで完勝。初の左回り、道悪、輸送も問題なく、その才能の高さをまざまざと見せつけた。

 本馬の生産は新冠町のパカパカファーム。過去にはNHKマイルカップ(Jpn1)の勝ち馬ピンクカメオをはじめ、ダイアモンドヘッド、ドラゴンファングなど重賞戦線をにぎわせる逸材を多数送り込んでいる。繁殖牝馬は自己所有、預託馬合わせて70頭。スタッフは日本人のみならず、アイルランド、イギリス、フィリピン、モンゴル国籍の14名が在籍し、毎年ヨーロッパから競馬大学の研修生も受け入れている国際色豊かな牧場だ。

 同牧場の社長を務めるのはハリー・スウィーニィさん。レース当日は駐日アイルランド大使が牧場を訪れており、電話で朗報を受けたという。「私は北海道におりましたので、東京競馬場へ行った牧場スタッフから電話で当日の気配や馬体重、オッズなどを聞き、レース後“勝ちました!強い競馬でした”と報告を受けました。デビュー戦が素晴らしい内容でしたし、矢作調教師から調子の良さを聞いていたので、チャンスはあると思っていましたが、メンバーも揃っていましたし、2歳馬は難しいですからね。1番人気に推された一方で、ナーバスな気持ちで結果を待っていました。レース後にリプレイを見たら、本当に強い勝ち方で驚きました。」と、ハリーさんは優勝の感想を語る。

 本馬の牧場時代については、「馬体が素晴らしく、パーフェクトな馬でした。バランスの良さは父似で、体高のあるところは母譲りでしょうね。」と、伝える。新冠の本場で誕生後は当時開設したばかりの同牧場・厚賀分場へ移り、1歳4月まで順調に過ごした。「今の2歳馬が厚賀分場で育った最初の世代で、さっそく成果を出せて嬉しいです。」と、喜びは二重に膨らむ。3年前に購入した厚賀分場は150町歩あり、起伏に富んだ広い放牧地が強い馬づくりにつながっている。

 母ラヴアンドバブルズは現役時代、フランスで重賞を含む3勝をマーク。3番仔ハブルバブルはフラワーC(G3)2着の実績があり、今年の桜花賞(G1)、オークス(G1)にも出走している。4番仔が本馬で、今年は本馬の全弟が誕生している。ハリーさんによると、「今年の当歳も良いですよ。全兄ディープブリランテに似て大きいです。全姉ハブルバブルとディープブリランテが今年活躍できると思っていたので、誕生後は売らずにキープしています。」とのお話。ブラックタイプを一層濃くし、来年、庭先取引かせり上場を予定している。

 加えて母系はバブルガムフェロー、ザッツザプレンティ、ショウナンパントルといったG1馬が出ている実績あるファミリー。母の競走成績、繁殖成績の優秀さも頷ける。「日本で好結果を出しているこの血統には、牧場として高い期待を寄せいています。」と、ハリーさん。牧場には本馬の母以外に、本馬の祖母バブルドリーム、同じ母系へと辿るオージーカンパニーも繁殖生活を送っている。

 圧倒的なパフォーマンスで2連勝を飾り、クラシックへ向けて一躍名乗りを挙げたディープブリランテ。牧場初のクラシックホース誕生の可能性は十分だ。ハリーさんは、「現時点の2歳馬ではトップクラスにいると思いますが、これからデビューする馬の中にも強い馬がいるでしょうからね。ただ、高い能力があるのは間違いないと思いますし、来年の皐月賞、ダービーに駒を進めて欲しいです。」と、静かに頂上を見つめる。プロフィールを知っていくと、大きなスケールを思わせる一頭。名馬の予感が確信へと変わる日もそう遠くないのかもしれない。