重賞ウィナーレポート

2005年02月27日 中山記念 G2

2005年02月27日 中山競馬場 晴 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:バランスオブゲーム

プロフィール

生年月日
1999年04月22日 06歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:20戦6勝
総収得賞金
617,695,000円
フサイチコンコルド
母 (母父)
ホールオブフェーム  by  アレミロード(USA)
馬主
薗部 博之
生産者
ヤマダフアーム (荻伏)
調教師
宗像 義忠
騎手
田中 勝春
  • エムエム、ヤマダファーム
    エムエム、ヤマダファーム
 古馬重賞戦線を常に賑わせながら、1年4ヶ月ぶりに殊勲を挙げた本馬のふるさとは浦河町荻伏のエムエム、ヤマダファーム。荻伏地区に流れる元浦川沿いの道道を走り、野深地区に入ると、オースミハルカで紹介した鮫川啓一牧場の隣にある。苦労を重ねた親子二代の牧場に本馬の重賞5度目の快挙は心底嬉しそうだ。
 現在7頭の繁殖牝馬を持つ同牧場は、昭和53年の創業で初代の山田盛夫氏が大手牧場・育成牧場を経た後、一人でこつこつと造り上げてきた牧場“自分の牧場はひとの世話にならずに造り上げたい”と信念を貫く盛夫氏は「自分の性分なのです。この住宅以外は土地の客土から始まり、厩舎などすべて作りましたよ。息子も小さい頃から手伝いしましたから、何でも出来ます」と苦労を振り返る。その息子さんが二代目現社長の盛文氏だ。盛文氏は本馬の殊勲に笑みを浮かべながらも「とにかく関係者の方のお陰でしょう。もしかしたら、苦労した親父への贈り物だったのかもしれません」と控えめに語りながら関係者の方に感謝し、父を労う。

 今回のレースには盛文氏も競馬場に応援に行ったそうだが、本馬の最終追い切りの調子は悪かったものの、パドックでは良い状態で少し期待を持っていたようだ。「幼駒の頃は気難しい所もあり、気持ちで走ってくれる馬なので、とにかく勝ってくれて嬉しいですね」と愛馬の成長を喜ぶ。

 本馬の血統にはノーザンダンサーのインブリードが目立つ(S4xS4xM5)が、母はホールオブフェーム(母の父アレミロード)で中央2勝の勝鞍を持つ。半兄フジキガン(父フジキセキ)地方2勝などがいて、本馬は第4仔になる。 現在、母はノーザンファームに移動しているが、昨年は全弟が誕生したようで、兄弟の活躍も楽しみではある。本馬は小柄な母(現役時に一番馬体重の少ないときは366Kgでの出走があるという)に似て、幼駒の時は小柄で気難しい仔だったようだが、バランスのよい馬格が印象に残るという。1999年のセレクトセールで落札され、同牧場で離乳後、ノーザンファーム空港牧場に移動した。セリでは相馬眼に定評のある購買者方が参加して、当時から期待されていたようだ。

 明るく、気さくな盛文氏には調教師や騎手の友達が多い。今回の重賞制覇に届いたお祝いは150個位にもなるだろうか、居間に溢れるお祝いの中には、本馬に関わらない調教師や騎手の名前が多数見受けられる。行動派の盛文氏の馬に対する理念も明確で「馬を自然に帰すことが重要ですよ」と言い切る。小さい時から馬と暮らし、“競走馬として強くなることが何か”を肌で習得したこの言葉は、今、馬産地で重要課題となる育成段階の大切なキーワードにもなっているようだ。第79回中山記念(GII)は、4番人気のバランスオブゲーム(牡6歳、田中勝春騎乗)が好位から難なく抜け出して快勝。一昨年の毎日王冠に続いてGII・4勝目を飾った。