重賞ウィナーレポート

2004年12月19日 阪神牝馬S G2

2004年12月19日 阪神競馬場 曇 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ヘヴンリーロマンス

プロフィール

生年月日
2000年03月05日 04歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:24戦6勝
総収得賞金
391,239,000円
サンデーサイレンス(USA)
母 (母父)
ファーストアクト(IRE)  by  Sadler's Wells(USA)
馬主
(有) ノースヒルズマネジメント
生産者
ノースヒルズマネジメント (新冠)
調教師
山本 正司
騎手
松永 幹夫
  • 本馬の幼駒の頃
    本馬の幼駒の頃
  • ノースヒルズの外観風景
    ノースヒルズの外観風景
今日の日高は、みぞれで風も強い悪天候だ。

 本馬の生産牧場は新冠町美宇の(有)ノースヒルズマネジメント。新冠の奥の山あいに別世界の様に存在する整備された牧場で、今年1月の取材(12日シンザン記念・グレイトジャーニー)の時は大雪だったが、今回は牧場も雨だった。
 同牧場は、オーナーブリーダーの社長である前田幸治氏が経営しており、競走馬に対する情熱は大きく、日高でも知名度は高い。最近ではノーリーズン(2002年皐月賞。父ブライアンズタイム、母アンブロジン、現在優駿スタリオンSで種牡馬生活中)を輩出しているが、繋養される50頭の繁殖牝馬も良血が揃っている。

 本馬の初重賞制覇は牧場にとっても喜びは大きく、1月以来の重賞制覇に安堵の表情が伺える。テレビで観戦した福田獣医師は「久振りですからね、嬉しいですよ。事務所に集まったスタッフと歓声を上げました。それと今回は相手の揃ったレースで勝てたのも大きいことですね」と3歳の強豪や重賞を制してきた古馬相手での優勝に喜ぶ。
 福田獣医師は本馬を出産の時から見守って来たというが「小さな母親ですが、雄大さを感じさせる仔が生まれ、とてもきれいな体をしていました。生まれた時からスタッフの評価も高く、うちのAランクでした」と振り返る。兄弟も比較的に遅咲きの仔が多いようだが、「本馬も順調に勝ち上がりましたが、なかなか重賞が取れませんでした。この夏、大山ヒルズで夏期休養と調整をして、力を付けましたね」と成長した本馬を讃える。(大山ヒルズは鳥取県に同牧場グループが昨年3月に開設した育成トレーニング場。800メートルの坂路等の施設もあり、西日本最大といわれる。)

 本馬の母はファーストアクト(父サドラーズウェルズ、愛国産)だが、2代母はアルカディナ(米国産、愛1000ギニーGI2着他)、3代母はナタシュカ(米国産、アラバマS他)などで、その産駒の重賞馬も多くブラックタイプのカタログも黒太字で埋まる。
 母は未出走だったが第1仔,2仔が英国、愛国で勝鞍をあげ、第3仔は日本に輸入されたミスタービッグベン(中央3勝)。その後1992年、持込馬として門別に輸入され、1998年のルポルタージュ(父サンデーサイレンス、牡、現役、中央4勝)から同牧場産となる。本馬は1年空胎後に第8仔として誕生。全妹の3歳リブインラブは中央でデビュー後、地方で出走中だが、中央復帰の期待を持つ。2歳の半妹(父ブライアンズタイム)は現在、大山ヒルズで育成中。
 母は今年、門別に戻り父スキャターザゴールドの半妹の当歳を誕生させたという。

 良血の血統後継馬としても本馬に期待が掛かるが、「生産牧場としては、繁殖牝馬が根付くことが大事です。本馬が来年怪我をする事も無く元気に走って、出来たら一つ勝って(目標はエリザベス女王杯)戻って来てくれたら最高ですね」(福田獣医師)と本馬の活躍に牧場の夢は膨らむ。

 今回の取材では、夢の大きい同牧場の夢のような雪景色も期待して出かけました。瀟洒な厩舎とタンネの木々に積もる雪景色は、大人のメルヘンの世界でクリスマスにお伝えするのにタイムリーだったのですが、雨で雪も解けてしまいました。本馬の活躍に次回取材の楽しみに残します。牝馬限定重賞・第47回阪神牝馬S(GII)は、単勝4番人気のヘヴンリーロマンスが、格上げ挑戦ながら直線で抜群の末脚を披露して優勝。オークス馬・ダイワエルシエーロ、好調オースミハルカらの重賞ウイナーを従えて、念願の初重賞制覇を奪取した。