重賞ウィナーレポート

2004年12月04日 ステイヤーズS G2

2004年12月04日 中山競馬場 曇 良 芝 3600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ダイタクバートラム

プロフィール

生年月日
1998年04月02日 06歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:33戦8勝
総収得賞金
425,696,000円
ダンスインザダーク
母 (母父)
スプリングネヴァー  by  サクラユタカオー
馬主
(有) 太陽ファーム
生産者
雅 牧場 (平取)
調教師
橋口 弘次郎
騎手
M.デムーロ
  • 母スプリングネヴァー
    母スプリングネヴァー
  • 雪景色の雅牧場
    雪景色の雅牧場
  • 雪の放牧地で遊ぶ母スプリングネヴァーたち
    雪の放牧地で遊ぶ母スプリングネヴァーたち
 今年は冬の時期を迎えても暖かな日高だったが、さすがに12月に入り冷え込み冬将軍の到来となった。
 本馬のふるさとは平取町川向の雅牧場。国道より10キロほど山あいに入る同牧場は一晩の降雪で一面の銀世界となり幻想的な景色を見せている。「いよいよ雪だね」と社長の清水哲朗氏が穏やかな表情で迎えてくれた。
 同牧場は2度目の取材になる(北九州記念7・18記載)が、繁殖牝馬計15頭を扱うオーナーブリーダーの牧場で、本馬の半兄にダイタクリーヴァ(2000年皐月賞2、同年スプリングS)、近親にダイタクヘリオス(1991,1992年マイルChS)などの活躍馬を輩出している。

 3走前の北九州記念でのレコード勝ちで完全復活した本馬は、今回の長距離レースで圧倒的な強さを見せ付けた。この勝利に清水社長は「メンバー的に負けられないレースでしたから緊張しましたよ。4コーナーからは勝てると思い、ようやく気も楽になりました。本馬はハマルとあの末脚がある。さすがに騎手(デムーロ)も上手でしたね」と33.9秒の末脚で一気にまくったシーンを思い出すように微笑む。
 5歳時を蟻洞(爪に穴の空く奇病)に病み長期休養した後の活躍に「あそこまで大きな蟻洞を持ったら、復帰できなくても当然です。それを厩舎(橋口弘次郎)の先生やスタッフの方が本当に良く立て直してくれました。頭が下ります」と関係者への感謝は大きく、本馬の元気な姿に生産者としての愛情が表れる。

 本馬の母スプリングネヴァー(母の父サクラユタカオー)は久しぶりの雪を懐かしむように遊んでいた。
母の母ネヴァーイチバン(母母の父ネヴァービート)から同牧場で繋養されているが、この祖母の産駒にダイタクヘリオスがいる。
 清水社長は母の配合の際、スピード系統を考慮したというが、「本馬の母はネヴァービートのM2×S3のインブリードとなり、“賭け”でしたが、幸い素晴らしい仔として誕生しました」と大事な血統後継馬を進化させたことに自信を覗かせる。この第1仔がダイタクリーヴァ、第2仔が本馬となる。
 同牧場では本馬の父がダンスインザダークであるように内国産馬を大事にするが、清水社長は「サンデーサイレンスが付けられなかっただけ。」とさりげなく笑う。だが、そこには生産界を見つめた強い信念を感じさせられる。

 本馬の馬主・太陽ファームは育成調教部門を受け持ち雅牧場と道路を挟んで隣接する。一環とした流れを清水社長が仕切るが、本馬の次走予定有馬記念の応援に「競馬場には、繁殖責任者の鈴木と調教責任の三條に行ってもらいます」と10数年来の信頼を寄せるスタッフに任せると言う。本馬が元気よく走ってくれるのを楽しみに気楽にテレビ観戦するとのことだが、「どうも私が行くと負けるのです」と小声が聞こえた。
 父内国産馬の勇士・ダイタクバートラムの活躍に期待したい。

第38回ステイヤーズS(GII)は、ダンスインザダーク産駒の6歳馬・ダイタクバートラムが単勝2.0倍の1番人気に応えて完勝した。重賞は3勝目。平成15年阪神大賞典(GII)に続く2つ目のGIIタイトルを手に入れた。