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道営スプリントはアップトゥユーが重賞2勝目を飾る

  • 2019年10月21日
  • 逃げ込みを図るアップトゥユー
    逃げ込みを図るアップトゥユー
  • 後続を振り切り重賞2勝目を飾った
    後続を振り切り重賞2勝目を飾った
  • ホッカイドウ競馬では重賞初勝利
    ホッカイドウ競馬では重賞初勝利
  • 引退を1年伸ばし、チャンスを掌中に収めた
    引退を1年伸ばし、チャンスを掌中に収めた
  • スタンド内で行われた表彰式
    スタンド内で行われた表彰式

 ホッカイドウ競馬短距離路線の最高峰、東京スポーツ杯第14回道営スプリント(H2)【ファインニードル賞】が10月8日、ダート1200mで争われた。

 今年は他地区からの遠征馬はなく、4歳~9歳の11頭がエントリー。1番人気に推されたのは、最年長の9歳馬メイショウアイアンで2.3倍。グランシャリオ門別スプリントをレコードタイムで優勝した古豪に衰えは見られない。3.1倍の2番人気はソルサリエンテ。3、4歳時スプリント戦で連勝を重ね、着実にステップアップを図ってきた同馬、鞍上は重賞連勝中の宮崎光行騎手とお膳立ては揃った。3番人気はJRAのオープン馬で、今季からホッカイドウ競馬に移籍してきたタイセイエクレールで8.1倍と、どの馬にも地力があり、高レベルで混戦模様だった。

 スタート良く飛び出したのは4番人気の牝馬アップトゥユー、差がなくフジノパンサー、トルシュローズ、カツゲキライデン、ソルサリエンテなどがつづく。直線を向くと、一度はフジノパンサーにハナを譲ったアップトゥユーが再び先頭へ。メイショウアイアン、ソルサリエンテ人気の2頭が猛烈に追い込んでくる。しかし、最内で粘り通したアップトゥユーが地元重賞初勝利を飾った。勝ち時計は1:10.9(曇・不良)。3/4馬身差の2着は最速の上がりで猛追したメイショウアイアン、クビ差の3着にソルサリエンテという結果だった。

 アップトゥユーを重賞勝利に導いた阿部龍騎手は「レース前から強気で行こうと決めていましたし、スタートには気をつけて、上手に出てくれた時はホッとしました。今はただ、無事に走ってくれて良かったという気持ちです」と振り返った。

 昨年末で引退、繁殖入りを検討していたという同馬。あと1年チャンスが欲しいと嘆願したのは他でもない角川秀樹調教師だった。「枠順、馬の状態、全てが良かった結果ですね。勝てそうで勝てないレースが続いていましたが、オーナーさんから1年の猶予をいただいた手前、重賞を勝てたことに対して本当にホッとしています」と安堵の表情。JBCスプリント(Jpn1)のステップレースということもあり、今後の予定はオーナーサイドと話し合いの上決定される。

 アップトゥユーは、父サウスヴィグラス、母ファーストレディ、その父スマートボーイという血統の5歳牝馬で、新ひだか町静内に位置するグランド牧場のオーナーブリーディングホース。全妹に17年のエーデルワイス賞(Jpn3)勝ち馬ストロングハート、近親にはNARグランプリ年度代表馬を二度受賞しているラブミーチャンなど、活躍牝馬を多数送り出している牝系だ。