馬産地ニュース

JBBAが生産者向け講演会

  • 2018年11月29日
  • 静内で開かれた生産者向け講演会
    静内で開かれた生産者向け講演会
  • 講師を務めたジョン・マディガン氏
    講師を務めたジョン・マディガン氏
  • 300人近い出席者から質問が相次いだ
    300人近い出席者から質問が相次いだ

 11月28日夜、公益社団法人日本軽種馬協会は、軽種馬経営高度化指導研修事業の一環として、牧場関係者を対象にした、新生子疾患に関する講演会を、新ひだか町静内吉野町にある静内エクリプスホテルにおいて開催した。

 講演会は日本ウマ科学会臨床委員会が協賛し、日本中央競馬会日高育成牧場、日高獣医師会、胆振獣医師会が後援。獣医師のジョン・マディガン氏を講師に迎えた。当日は夜遅くにもかかわらず、日高や胆振から牧場関係者や獣医師が300人近く集まり、席を追加しても立ち見が出るほど大きな関心を集めた。

 講師のマディガン氏はカリフォルニア大学デイビス校獣医学部の医学と疫学の教授。馬の比較神経学、新生児薬、新生児と新生児の出生時意識の移行、三叉神経媒介型頭部震、感染症などを研究している。馬の内科専門医として250以上の論文を執筆しており、新生子学に関する2つの教科書の編集者としても知られる。日本国内でもすでに普及している、子馬の出生時の低酸素脳症に対するロービングテクニックを研究したほか、カリフォルニア動物緊急対応運営委員会と米国馬医師福祉委員会のメンバーとして大動物リフトの開発にも従事。また、UC Davis Veterinary Emergency Response Team(VERT)を設立し、カリフォルニアやアメリカ国内の洪水や火災などの災害にも個人的に協力。先日、日本でも大きく報道された、カリフォルニア州の山火事においても救援活動に尽力したという。これまでに、アメリカ馬医師協会賞、アメリカ獣医学会福祉賞、アメリカ下院議会特別功労賞、アメリカ赤十字ヒーロー賞動物救援カテゴリー、ファイザー賞研究優秀賞など数多くの栄誉や賞を受賞。馬の新生子疾患に関する診断・治療のスペシャリストとしてだけでなく、様々な分野で活躍している。

 「出産時における子馬の一般的な疾患に対する予防と迅速な治療のための管理について」と題した講演でマディガン氏は、新生子の健康のための予防的衛生措置、新生子の正常なパラメータ、新生子の異常を早期に発見する方法、ハイリスクな新生子の管理方法などをデータや動画で説明。出席した牧場スタッフや獣医師からは「ロープによるスクイージングは、生まれてから何時間の時点で行なうのが適正なのでしょうか」、「子馬の状態が悪くて立てないときや生れてしばらく経っても立てない場合にロープを回し切れないときがあるのですが、そのような場合はどうやってロープスクイージングを実施してますか」、「低酸素症が疑われる子馬に対して酸素の注入をすることがあるのですが、そういうのは有効なのでしょうか」、「ロープスクイージングは生産者に対してレコメンドしているのか、獣医師が到着する前に生産者がやることを推奨しているのか、獣医師が行うべき処置なのか、先生はどのようにレクチャーされてますか」といった質問に対しても「良い質問ですね」、「適切な質問をありがとう」といいながら、質問者が理解できるよう、ゆっくりと語りかけた。