馬産地ニュース

胆振獣医師会が産業動物(馬)講習会

  • 2018年11月05日
  • 100名の獣医師が出席した講習会
    100名の獣医師が出席した講習会
  • 講師を務めたJRA競走馬総合研究所臨床医学研究室の黒田泰輔氏
    講師を務めたJRA競走馬総合研究所臨床医学研究室の黒田泰輔氏
  • 主催者を代表してあいさつする田中秀俊会長
    主催者を代表してあいさつする田中秀俊会長

 10月26日、胆振獣医師会(田中秀俊会長)は、苫小牧市若草町にある日胆農業会館3階会議室において、平成30年度産業動物(馬)講習会を開催した。

 講習会は公益社団法人北海道家畜畜産物衛生指導協会との共催で、全国公営競馬獣医師協会、胆振獣医師会馬部会が協力。1998年から毎年秋に開かれており、21回目を迎えた今年は、「馬の細菌感染症と抗菌治療薬」がテーマになった。

 講習会には胆振獣医師会の会員、JRA日本中央競馬会の職員、みなみ北海道農業共済組合の獣医師、日高軽種馬農業協同組合の獣医師、胆振や日高で活躍する開業獣医師、軽種馬生産育成牧場の獣医師、医療機器関係者など約100名が出席。講習会の開催にあたり主催者を代表して胆振獣医師会の田中秀俊会長は「朝早くから100名を超える皆様にお集まりいただきありがとうございます。一昨日、静内で行われた繁殖馬セールでは200頭を超える上場馬が活発に取引されました。その中にはオーストラリアの大きな牧場からの参加もあり、4頭ほど購買されてました。いかに日本の競馬産業が世界から注目を浴びているかを目の当たりにしました。サラブレッドは、世界を走り回るダイヤモンドのような存在です。そのサラブレッドを支えているのは、今日ここにお集まりの皆様のお力だと思います。胆振獣医師会でも皆様の要望に応えるべく、いろいろなことを考えております。今日は1日、素朴な疑問でも構いません。何かすっきりしないものがすっきりしたと、そういう気持ちをもってお帰りになられたら幸いです」とあいさつした。

 続いて馬部会の加藤史樹部長は「今日は100名を超える皆様に出席していただいています。過去に100名を超えるのは、2013年に行われた馬の蹄疾患と装蹄療法がテーマになったときで、この時は装蹄師さんも交えてだったと記憶しています。ほぼ獣医師で100名を超えるのは初めてのことと思います。今日の内容は結構充実したものになると思います。最後までよろしくお願いします」と講演内容を説明。最初はJRA競走馬総合研究所臨床医学研究室の黒田泰輔氏が「JRAにおける競走馬の抗菌薬治療について」を演題に講演した。

 講師の黒田氏は2005年に東京農工大学農学部獣医学科を卒業し、JRAに入会。美浦トレーニングセンター診療所、栗東トレーニングセンター診療所を経て、2014年から競走馬総合研究所臨床医学研究室で勤務している。2016年には山口大学連合獣医学科研究科にて獣医学博士号を取得。競走馬臨床獣医師として9年のキャリアを誇る。これまでに競走馬の蕁麻疹に対する抗ヒスタミン剤投与法の検討、テトラサイクロン系抗菌薬の涙液移行性、競走馬およびウマ臨床獣医師のMRSA保菌調査、競走馬の細菌性胸膜炎に対する抗菌薬投与法の検討、競走馬のCDIに対するメトロニダゾールを用いた治療法などを研究している。

 黒田氏は講演の中で抗菌薬が効果を発揮する条件などを説明。どの抗菌薬がどの疾患に効果があったか、1回の投与量、投与法、1日の投与回数などのデータを示した。

 その後は昼食時のランチョンセミナーを含め、6つの演題の講演が行われた。