馬産地ニュース

JRAが生産地シンポジウム

  • 2018年07月18日
  • 46回を数えるJRA主催のシンポジウム
    46回を数えるJRA主催のシンポジウム
  • 挨拶する木村一人JRA馬事担当理事
    挨拶する木村一人JRA馬事担当理事
  • 講演するエクワインレーシングの瀬瀬賢代表
    講演するエクワインレーシングの瀬瀬賢代表

 7月12日、JRA日本中央競馬会は新ひだか町静内御幸町にある静内エクリプスホテル2階エクリプスホールにおいて、「第46回生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウム」を開催した。

 シンポジウムには日高や胆振からのみならず全国から獣医師や牧場関係者ら約200人が出席。主催者を代表して木村一人JRA馬事担当理事は「本日はお忙しい中、こんなにも多くの皆様にご参加いただきまして誠にありがとうございます。生産地の皆様におかれましては、日頃より予防接種推進事業や馬伝染性子宮炎蔓延防止対策事業、生産地疾病等の調査研究になど、多大な協力いただいておりますことを、この場を借りて改めてお礼申し上げます。さて、本年のシンポジウムは、スポーツ科学分野について開催いたします。この分野は日進月歩で、日々、実験室から新しい研究結果が見出されています。一方、調教の現場でも、皆様が長年培われた経験から、素晴らしいノウハウが積み重ねられてきております。本日はJRA競走馬総合研究所、JRA日高育成牧場の職員だけでなく、ホッカイドウ競馬の調教師でおられます齋藤先生、民間の育成牧場を代表してエクワインレーシングの瀬瀬様にもご講演していただきます。本シンポジウムが最新の研究成果と実際の調教現場をつなぐ架け橋となり、我が国における競走馬育成技術の向上の一助となることを願ってやみません。活発な議論が展開され、有意義な情報交換の場になることを期待しております。みなさまにとって実りある一日になるようにお祈りいたします」とあいさつした。

 午前中のシンポジウムは「スポーツ科学の実戦への応用-ラボから現場へ-」が演題。JRA競走馬総合研究所の高橋敏之氏が座長となり4人の演者が講演した。この模様は日本最大級の動画配信サイト、ニコニコ生放送でもライブ中継された。

 昼食時にはランチョンセミナーが行われ、午後からはJRA競走馬総合研究所の丹羽秀和氏が座長になり「感染症・内科」がテーマになった一般講演と、JRA日高育成牧場の佐藤文夫氏が座長になり「繁殖・外科」をテーマとした一般講演が行われた。

 当日のプログラムは下記の通り(敬称略)。

●シンポジウム 「スポーツ科学の実践への応用-ラボから現場へ-」 座長:高橋敏之(JRA競走馬総合研究所)

1)科学トレーニングの可能性~エクワインレーシングの取り組み~

 ○瀬瀬賢(エクワインレーシング)

2)V200から見るJRA育成馬の調教状況の考察

 ○胡田悠作(JRA日高育成牧場)

3)門別競馬場坂路調教コースにおける運動効果の科学的評価の経験

 ○齋藤正弘(ホッカイドウ競馬調教師)

4)調教メニューの違いがサラブレッドに与える運動負荷の違い

 ○向井和隆(JRA競走馬総合研究所)

5)育成期におけるトレッドミルを用いた高強度運動負荷の検討

 ○大村一(JRA競走馬総合研究所)

●ランチョンセミナー 「慣性センサーによる馬の歩様解析」

 ○富士通株式会社

●一般講演 「感染症・内科」 座長:丹羽秀和(JRA競走馬総合研究所)

1)子馬のロドコッカス・エクイ感染症の10年間にわたる回顧的調査と対策の推進

 ○篠田理恵(日高家畜保健衛生所)

2)子馬のロドコッカス肺炎におけるドキシサイクリンの応用

 ○岸恵里(NOSAIみなみ日高支所中部家畜診療センター)

3)マウスモデルによるウマロタウイルスワクチンの評価

 ○根本学(JRA競走馬総合研究所)

4)急性大腸炎に伴う血液凝固異常に対する血漿輸液療法の検討

 ○山本匠(JRA栗東TC競走馬診療所)

●一般講演 「繁殖・外科」 座長:佐藤文夫(JRA日高育成牧場)

1)分娩後胎盤停滞に対するumbilical vessel water infusionのサラブレッド繁殖牝馬への応用検討

 ○前田昌也(日高軽種馬農業協同組合)

2)流産胎子の大きさに関する回顧的調査

 ○村瀬晴崇(JRA日高育成牧場)

3)吸入麻酔下横臥位にて腹腔鏡補助下卵巣顆粒膜細胞腫摘出手術を実施した2症例

 ○田上正明(社台ホースクリニック)

4)Core型浅屈腱炎発症馬の競走復帰に影響する因子の検討

 ○山崎洋祐(JRA美浦TC競走馬診療所)