馬産地ニュース

アロースタッドで種牡馬展示会

  • 2018年02月14日
  • 皐月賞(G1)をレコードで制したディーマジェスティ
    皐月賞(G1)をレコードで制したディーマジェスティ
  • 第81代日本ダービー馬ワンアンドオンリー
    第81代日本ダービー馬ワンアンドオンリー
  • 高松宮記念(G1)をレコードで駆け抜けたビッグアーサー
    高松宮記念(G1)をレコードで駆け抜けたビッグアーサー
  • JBCスプリント(Jpn1)を優勝したドリームバレンチノ
    JBCスプリント(Jpn1)を優勝したドリームバレンチノ
  • 半兄にエスケンデレヤがいるゴドリー
    半兄にエスケンデレヤがいるゴドリー
  • シリウスS(G3)を優勝したマスクゾロ
    シリウスS(G3)を優勝したマスクゾロ
  • 米国牡馬三冠クラシックに参戦したラニ
    米国牡馬三冠クラシックに参戦したラニ
  • 地方競馬で重賞4勝のポアゾンブラック
    地方競馬で重賞4勝のポアゾンブラック

 2月13日、新ひだか・アロースタッドで種牡馬展示会が開催された。この日、先に展示会を開催していたJBBA静内種馬場から、生産関係者を乗せた車が次々と駐車場に到着。いつしか展示場所には幾重にも人垣が出来上がっていた。

 この日32頭の種牡馬が展示。その中には今年、国内では最多となる8頭の新種牡馬の姿もあった。

 その新種牡馬で先に展示されたのは、2016年の皐月賞(G1)をレコードで制したディーマジェスティ。展示に際しては、現役時にディーマジェスティを管理していた二ノ宮敬宇調教師からのメッセージが代読された。「ディーマジェスティは生産牧場である服部牧場で産まれた直後に見せていただきましたが、管理をしてきた兄や姉とは違った体型をしていました。前駆と後駆のバランスの良さと、頭の位置が非常に良かったことが思い出されます。ファンタスト木村牧場での育成時でも心肺機能の高さを示しており、きっと子供たちも雄大な馬体と柔軟な筋肉を持った馬が産まれると思います」とエールを送った。

 次に展示されたのは、第81代の日本ダービー馬となったワンアンドオンリー。日高を代表する名門スタリオンであるアロースタッドだが、新入厩馬としてダービー馬を迎え入れたのは、ワンアンドオンリーが初めてとなる。また、ハーツクライの後継種牡馬としても最初の繋養馬でもあり、ゆくゆくは「ダービー馬はダービー馬から」の格言を叶えるような産駒の誕生が待たれる。

 高松宮記念(G1)でレコードを樹立したビッグアーサーは、新種牡馬で3頭目の展示となった。他の新種牡馬よりも引退時期が早かったこともあり、現役時から一際目を引いていた筋肉質の馬体は、更に逞しさを増していた。ビッグアーサーも展示に際しては、現役時のオーナーであった中辻明氏がマイクを持ち、「ビッグアーサーとの出会いは、セレクションセールで管理していた藤岡調教師が見いだしてくれたことにあります。デビュー戦から調教通りの走りを見せてくれただけでなく、そこから一気にオープンまで上り詰めてくれました。レコードで勝ってくれたスピード能力と、筋肉の鎧のような好馬体は、産駒に引き継がれると思いますし、皆さんの持たれている素晴らしい繁殖牝馬に配合をよろしくお願いします」と語っていた。

 芝、ダートの双方で重賞を勝利。7歳時にはJBCスプリント(Jpn1)、9歳時にも東京盃(Jpn2)を制し、10歳まで55戦を戦い抜いたドリームバレンチノ。年齢を感じさせない程に馬体は若々しく、適性の広さだけでなく、その丈夫さもまた、生産者には高く評価されそうだ。

 ゴドリーは新冠・優駿スタリオンステーションで繋養されているヘニーヒューズの後継種牡馬。現役時は中央で10戦2勝ながらも、半兄がJBBA静内種馬場で繋養されているエスケンデレヤという良血馬。ヘニーヒューズは昨年のファーストシーズンサイアーで2位となるなど、期待に応えるような産駒成績も残しており、後継種牡馬も続々とスタッド入りしている。その後継種牡馬の中でも随一の血統背景を持つゴドリーは、その好馬体もこの展示会でアピールできたと言えそうだ。

 マスクゾロはフサイチペガサスの後継種牡馬で、現役時にハスケル招待H(G1)を含む重賞4勝をあげた、ローマンルーラーの産駒。キーンランドノベンバーセールでは17万ドルで取引されており、現役時はシリウスS(G3)を含む16戦7勝をあげている。展示に際しては、マスクゾロといったオーナーの所有馬の管理を任されている、インターフェイスの木村良明氏が挨拶に立ち、「2011年のキーンランドセールの当歳セールでも、雄大な馬格は抜けた存在でした。重賞を制したシリウスS(G3)では、レース後に繋靭帯炎が発症しながらも、ゴールまで凌ぎきるような勝負根性を見せてくれました。その点も皆様には強調したいと思っております」と話していた。

 ラニは2014年からの3年間、北米のリーディングサイアーとなったタピットの産駒。母のヘヴンリーロマンスも牝馬としては、エアグルーヴ以来8年ぶりに天皇賞(秋)(G1)を優勝という良血馬である。アメリカ産のラニは日本に輸入後、2歳未勝利、カトレア賞と快勝。3歳時のUAEダービー(G2)では、日本調教馬として初めて優勝を果たし、その後は米国牡馬三冠クラシックへ参戦。最後の一冠となるベルモントS(G1)では3着に入着する。その血統背景や競走成績とすると、非常にリーズナブルな種付料が設定(受胎確認後50万円フリーリターン特約付)されており、多くの繁殖牝馬を集めることになりそうだ。

 新種牡馬最後の展示となったのがポアゾンブラック。現役時は中央、地方を合わせて33戦12勝。ラストランを飾った昨年の道営スプリントなど、地方で重賞4勝をあげている。展示では、ホッカイドウ競馬時代に管理をしていた田中淳司調教師がマイクを持ち、「厩舎に来た頃から乗り味も良く、坂路調教での動きも素晴らしく、ちょっと仕掛けただけで速い時計を出せるほどのスピード能力もありました。しかしながら、スピード能力がありすぎるがばかりに故障を発症しましたが、岡田牧場の皆さんのケアもあって、昨年の夏に復帰。その際に種牡馬にしたいという思いもあったので、慎重に調教を進めたのですが、万全で無い状態、しかも1年8か月ぶりのレースにも関わらず勝利した時には、自分も涙が出てきました」と昨年のレースを振り返っていた。

 新種牡馬の後は在厩馬が次々と展示。その後には毎年恒例となっている、繋養種牡馬の無料種付権などが当たる抽選会が行われ、牧場の名前が読み上げられる度に、笑顔で景品を取りに行く生産関係者の姿も見られていた。