馬産地ニュース

北海道静内農業高等学校生徒が北海道知事を表敬訪問

  • 2020年10月09日
  • 鈴木直道知事を囲んでの記念撮影
    鈴木直道知事を囲んでの記念撮影
  • 静内農業高等学校の知事表敬訪問
    静内農業高等学校の知事表敬訪問
  • 結果を報告する山形采さん
    結果を報告する山形采さん
  • せりの映像を視聴する鈴木直道知事
    せりの映像を視聴する鈴木直道知事
  • 27,500,000円(税込)で売却された時の立ち写真
    27,500,000円(税込)で売却された時の立ち写真

 10月6日、新ひだか町静内田原にある北海道静内農業高等学校(佐藤裕二校長、生徒数123名)の生徒が、北海道サマーセールにおいて生産馬を高額で売却したことを報告するため、鈴木直道知事を表敬訪問した。

 静内農高は8月25日に新ひだか町静内神森にある北海道市場にて開催された北海道サマーセール1日目において、生産馬のマドリガルスコア2019を、27,500,000円(税込)で鹿児島県の竹園正継氏に売却。生産馬としては過去最高額、4日間開催されたサマーセールでは、売却馬825頭のなかで高額売却馬5位タイという高い評価を受けた。

 マドリガルスコア2019は父がJBBA日本軽種馬協会静内種馬場に繋養されるマクフィ、母がマドリガルスコア、母の父がダンスインザダークという血統の牡1歳の鹿毛。2019年5月25日に静内農高で産声を上げた。世話をする生徒たちは「健康に育って私たちの夢を叶えてほしい」という意味を込めて健叶(けんと)と命名し、周囲の協力を得ながら育ててきた。

 当日は佐藤裕二校長、担当の小林忍教諭、生産科学科3年馬コースの山形采さん、清水悠花さん、南部彩乃さん、小野浩輔さん、藤川莉央さんの5名の生徒が訪問。鈴木直道知事、小田原輝和農政部長、新井健一農政部生産振興局長と知事会議室で対面した。

 生徒を代表して山形さんは「本日は私たちの日頃の学習成果を、このような形でご報告させていただけることに、心より感謝いたします。私たちが通う静内農業高校は、全国の公立高校で唯一、地域産業であるサラブレッドの生産、育成、せりの上場といった、軽種馬生産学習を行っております。
 毎年、本校では、1頭のサラブレッドを生産し、1年半かけて育て、プロの生産者の方々が育てた馬たちが上場されるせりにかけます。過去に生産した代表馬には、JRAのレースで3勝をあげているユメロマンもいます。
 私の出身は神奈川県ですが、幼いころから馬が好きだったため、親元を離れ、静内農業高校へ入学しました。入学から1年後の5月に、学校の厩舎で、私たちがせりに上場するまで担当する仔馬が誕生しました。仔馬には健叶と名づけました。
 仔馬の時の健叶は、とてもやんちゃで、ほとんど馬に触れたことがなかった私は、健叶に噛まれたり、踏まれたりすることはしょっちゅうで、放牧に出すときに引きずられることもありました。それでも毎日接するうちに、お互いに信頼関係を築き、健叶が生まれてからせりまでの高校生活は、ともに成長してこれたと感じています。
 せり本番、せり上げは150万円からスタートし、みるみる値段ははね上がり、気づけば2500万円(税抜)で落札され、落札された瞬間は、とても感動しました。
 会場を出た時に、購買者の竹園様や多くの馬主さんから『今日出ている馬の中で一番良かったよ。せりまでに立派に育て上げたね』などと声をかけていただいたときに、私たち高校生が育てた馬が、プロの競馬関係者の方に認めてもらえたということと、健叶が生まれた時から今までのことがよみがえり、涙が止まりませんでした。
 現在、健叶は育成牧場で競走馬になるためのトレーニングを受けています。大きなけがもなく、無事にレースに出場するように願いを込めて、これからも健叶とともに成長していきたいです。
 最後になりますが、出産前から売却まで、健叶に関わっていただいた地域の方々や、関係機関の方々のご支援、ご協力に感謝いたします。これからも静内農業高校の応援を、よろしくお願いします」と報告した。

 鈴木知事は「皆さんが、これまで、培ってこられました経験や技術ですね、軽種馬のセールスで評価をされた、思わず涙が流れたというお話がありましたけれども、このことは本当にうれしいことだと思いますし、北海道にとってもめでたいことと思います。
 新型コロナウイルスの感染拡大があって、学校の中でも、いろいろ気をつけなければならないことだとか、そのうえでご苦労されたことが、大変大きかったことと思いますけれども、こうした形で結果が実を結んだということも本当に心から敬意を表したいと思います。
 種牡馬のマクフィを所有する日本軽種馬協会、日本中央競馬会からも高い評価をいただいたともおうかがいしてます。北海道、日高や胆振などの馬産地はもちろんですけれども、馬にかかわる方々に、明るいニュースになったと思いますし、軽種馬産業に、大変良い影響を与えられたのではと思います。
 学校で得た、そういった経験、知識、また、実践力などは、これから社会人としてかけがえのない大きな力になるものと思います。これから北海道の未来を支える皆さんにですね、私からも心から期待する言葉を贈りたいと思います。今日は報告に来てくださいましてありがとうございました」とコメントした。

 続いて鈴木知事は健叶がせりで売却された時の映像を視聴。せり上がっていく様子を食い入るように見つめ「先ほど話された、生まれた時からのことがよみがえったという意味がよくわかりました。実際に会場で生で見たらもっと違うんでしょうね」と述べた。

 生徒は鈴木知事に生後3日目の姿を描いたイラスト、せりで売却後に撮影した立ち写真を贈呈。最後に鈴木知事を囲んでの記念撮影が行われ、なごやかなうちに表敬訪問は終了した。

 落札時の映像はこちら(youtube)→ https://youtu.be/OUmV79bS1Qk