馬産地コラム

エスポワールシチーを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 2014年01月07日
  • エスポワールシチー
    エスポワールシチー
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    エスポワールシチー
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    エスポワールシチー

 09年、10年のJRA賞最優秀ダート馬エスポワールシチーを訪ねた。12月7日のスタッドインから約1か月。新たなホーム、優駿スタリオンステーション(新冠町)の放牧地にもすっかり慣れた様子で、砂の王者は静かに草を食んでいた。隣近所で若馬が駆け回っても、我関せずの落ち着きぶり。その姿はまるでベテラン種牡馬のようである。

 「さすが全国各地の競馬場を渡り歩いて、海外遠征まで経験しただけのことはありますね。走った馬らしくピリリとした面は持っていますが、普段は無駄なことをしませんし、どっしりと構えています。馬体のバランスも素晴らしいものがありますよ。移動してきて間もないですが、飼い葉もしっかり食べていますし、心身ともに元気いっぱいです」(優駿スタリオンステーション・山崎努主任)

 エスポワールシチーは3歳春にデビューして、8歳秋までに通算40戦17勝。一度も大きなケガやアクシデントに見舞われることなく、『無事是名馬』を体現するかのような競走生活を送った。長く濃密な69ヵ月間。09年かしわ記念(Jpn1)で初のビッグタイトルを獲得すると、競馬史に残る怒濤のG1 5連勝を記録した。以降もダート路線の主役であり続け、積み重ねた重賞タイトルは12。ヴァーミリアンに並ぶ歴代トップタイとなるG1 9勝をマークし、生涯獲得賞金は10億円を突破した。

 「ダートで実績を挙げた馬ですが、芝の短距離戦を勝っているようにスピードの絶対値が高かった馬。いまの日本競馬に必要不可欠な要素を持っており、芝ダート両方こなせるとなれば、需要は高まります。事務局の(株)優駿にはすでに多くの問い合わせがきているようですし、充実したシーズンを迎えられそうですね」(山崎主任)

 供用1年目は種牡馬として成功するためにとても重要な第一歩となる。山崎さんはあくまでも個人的な見解、と前置きしたうえで「結果を出している種牡馬というのは、ここが良い、と特筆できる要素を持っていると思います。エスポワールシチーの場合は馬体が良いですし、スピードも魅力ですから」と語った。

 スタッドイン前から満口御礼となったヘニーヒューズと共に、優駿スタリオンステーションの新たな看板種牡馬へ。人馬ともに忙しい春を迎えることになりそうだ。