馬産地コラム

ハーツクライを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2012年12月19日
  • ハーツクライ
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 2005年の有馬記念(G1)で圧倒的人気を集めていたディープインパクトを退けて優勝。あっといわせたハーツクライは、2007年から北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬生活を送っている。

 年が明ければ12歳。7回目のシーズンを迎えようとしているが、放牧地ではサンデーサイレンス系の証ともいえる激しさを全身からにじませている。頼もしいばかりだ。

 「奇しくも1歳年下のディープインパクトと同じ年に種牡馬となりました。あらゆる意味でディープインパクトが優れた種牡馬だということは疑う余地のないものですが、出走頭数に対する勝ち上がり率などはディープインパクトに負けていません。産駒数の違いが成績に現れている格好です」と社台スタリオンテーションでは分析している。

 実際、ハーツクライの初年度産駒は75頭が出走し、中央、地方あわせて57頭が勝ちあがっている。出走頭数に対する勝馬率は76%。対するディープインパクトは134頭の出走で104頭が勝利し77.6%(いずれも平地のみ集計。JBISによる)。ともに驚くべきハイレベルであることは間違いないが、数字の上では互角の争いをしていることがわかる。

 「今年、印象に残るシーンといえば、やはりギュスターヴクライの阪神大賞典(G2)でしょうか。相手にアクシデントがあったとはいえ、早めに先頭にたった人気馬の追撃を封じ込めたレースは、まるでハーツクライの有馬記念(G1)を再現しているみたいでした」とスタッフが語ってくれた。ジャスタウェイがアーリントンC(G3)に勝利したほか、毎日王冠(G2)では歴戦の古馬を相手に2着。ウインバリアシオンも天皇賞(春)(G1)3着、宝塚記念(G1)4着と現役トップクラスの実力を示している。

 「現役時代に同じレースで走ったこと、それからディープインパクトと同じ年に種牡馬入りしたということで、どうしてもディープインパクトと比較されることが多くかわいそうな面もありましたが、産駒デビュー後は配合数も増えて安定してきました」というのは事務局の三輪圭祐さんだ。「3世代目産駒というのは、どの馬も苦戦傾向ですがハーツクライは、その世代がとくに好調で、JRAだけでもすでに17頭が勝ちあがっています(12月17日現在)。ハーツクライ自身がやや晩成のイメージでしたから、産駒が早くから活躍してくれるのは嬉しい限りです」と胸を張っている。

 その中にはアルテミスSをレコード勝ちしたコレクターアイテムやサフラン賞をレコード勝ちしたタガノミューチャン、そしてキャリア1戦ながら阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で3着したレッドセシリアなどが含まれている。「来年デビュー世代からは質、量ともに充実する世代です。楽しみが広がります」と夢を膨らませている。