馬産地コラム

ゼンノロブロイを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2012年11月08日
  • ゼンノロブロイ
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 産駒のルルーシュがアルゼンチン共和国杯(G2)をレースレコード勝ち。産駒が同レース2連覇を達成したゼンノロブロイを社台スタリオンステーションに訪ねた。

 整然と広がる同スタリオンの放牧地。サンデーサイレンスやノーザンテーストら同スタリオンを支えてきた数々の名馬の墓碑を見上げる閑静な放牧地にゼンノロブロイがいた。隣にはダノンシャンティ、手前にはカジノドライヴ。若き新種牡馬たちを従えるような位置で、放牧地を歩き回っている。一完歩が大きく、優雅にステップを踏んでいるようにも見える。威圧感のある馬体ではないが、スマートで洗練された馬体は見るものを飽きさせない。

 「ルルーシュは、まだ特別戦も勝っていないときにスタリオンブックへ掲載させてもらったくらいに期待していた馬です。途中で1年以上の休養を余儀なくされた馬ですが、ゼンノロブロイ産駒らしい成長力を示してくれたことは嬉しく思います」と同スタリオンの三輪佳祐さんが同馬の快走に白い歯を見せた。前走まで8戦連続1番人気。クラスがあがっても変わらぬ期待を集めていた馬が、3度目の挑戦で重賞初V。レースレコードで華を添えた。

 また、ルルーシュ快走の数時間前、米国カリフォルニア州のサンタアニタ競馬場で行われたブリーダーズCターフ(G1)にトレイルブレイザーが出走。日本競馬史上7年ぶり2頭目の米G1制覇を狙ったものの、こちらは惜しくも4着に終わった。

 「ゼンノロブロイ自身も英国のインタナショナルS(G1)で2着でした。その雪辱をと期待しましたが、結果的には残念でした。でも馬の能力は示せたと思います。なにしろ、舞台が世界のブリーダーズカップですからね」と悔しさをにじませながら、健闘を讃えた。それでも、世界に「ゼンノロブロイ」の名を知らしめるに十分な内容だった。

 ほか、この秋はブリッジクライムが秋華賞(G1)で4着。ナムラビクターはダートで6戦4勝、4着以下なしの快進撃で古馬相手のブラジルカップで5馬身差圧勝。秋の古馬G1レース完全制覇を成し遂げたゼンノロブロイ産駒らしく、芝で、ダートで活躍が目立っている。

 「サンテミリオンやペルーサらの初年度産駒は世代別サイアーランキングで3位です。その後は産駒数の減少によりやや目立たなくなっていますが、これら産駒の活躍によって、来年デビューする1歳世代は質、量ともに十分なレベルアップをしています。改めて期待したいです」とさらなる飛躍を狙っている。