馬産地コラム

クロフネを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2011年11月30日
  • クロフネ~1
    クロフネ~1
  • クロフネ~2
    クロフネ~2
  • クロフネ~3
    クロフネ~3

 2001年のジャパンCダート(G1)優勝馬クロフネを、安平町の社台スタリオンステーションに訪ねた。

 あの時の衝撃は、今VTRを見ても新鮮だ。スタート直後は後方に位置していたクロフネは2角をまわると中団まで押し上げ、そして3角手前からスパート。外国馬2頭が引っ張る平均的に早い流れにも、ダート競馬の本場アメリカから参戦したG1レース2勝馬リドパレスも、この馬にはまったく関係なかったようだ。武豊騎手が引っ張りきれないように4角手前で先頭に踊り出ると、東京競馬場の長い直線はクロフネのひとり舞台のステージとなった。前年にレコードタイムを記録したウイングアローが自身のレコードをコンマ2秒更新する走りを見せたが、クロフネは、そのはるか先。1秒以上も前にゴールを通過していた。あの衝撃からちょうど10年目の秋だ。

 現在はダイワメジャーやディープインパクト、メイショウサムソンらとともに一般見学ができる放牧地で来るべき11年目のシーズンに向けて鋭気を養っている。見学台からはやや奥まった場所になるが、真っ白になった芦毛の馬体は遠目からでも容易に確認できるはずだ。現役時代から丸みを帯びた馬体は10年間の種牡馬生活でさらに貫禄を増し、心身ともに充実期を迎えているようだ。

 今年はカレンチャンが5連勝でG1ウイナーに昇りつけたほか、ホエールキャプチャが牝馬クラシック戦線をにぎわせた。「芝ダート、距離の長短を問わずに、幅広いカテゴリーで産駒が活躍してくれるのが凄いと思います。サンデーサイレンス牝馬に頼らない産駒成績ですから胸を張れると思います」と社台スタリオンステーションの徳武英介さんが本馬を紹介してくれた。

 「3頭のG1ウイナーを出していますが、それ以上に凄いと思うのは出走率、それから産駒の勝ちあがり率です」という。特筆すべきはカレンチャン擁する現4歳世代でこの世代は161頭の生産に対して、JRAでの83頭を含む119頭が勝馬になっている。「JRAの未勝利戦は時期になると除外ラッシュで調整が難しいと思うのですが、そういう中で高い勝ちあがり率を記録しているというのは仕上げが楽で、好調が長続きするんでしょうね」と分析している。そんな産駒たちの活躍もあって2011年もJRA年間100勝を記録。年間100勝は4年連続4回目。2011年シーズンも200頭の繁殖牝馬に配合し、こちらも4年連続で200頭超えを記録した。

 「若くして種牡馬になったので、11年目シーズンを迎える来年も14歳です。馬は本当に元気にしていますので、来シーズンも楽しみです」と期待している。