馬産地コラム

ブラックタイドを訪ねて~ブリーダーズスタリオンステーション

  • 2011年01月07日
  • ブラックタイド~1
    ブラックタイド~1
  • ブラックタイド~2
    ブラックタイド~2
  • ブラックタイド~3
    ブラックタイド~3

 種付頭数が期待の表れなら、大きな期待を背負っている1頭だ。初年度は日高地区けい養の新種牡馬として最多の150頭に種付を行い、2年目シーズンの143頭がブラックタイドの血を求めている。

 父サンデーサイレンス、母ウインドインハーヘア。半姉にデビューから5連勝を記録したレディブロンドがいて、1歳違いの全弟にディープインパクトがいる血統。その優秀性は語りつくされている。

 「それにしても、ディープインパクトは凄いですね」と日高町のブリーダーズスタリオンステーションの坂本教文主任が感心したように2010年シーズンをふり返った。ファーストシーズンサイアーとしてはもちろん、2歳総合チャンピオンサイアーになり、新種牡馬としての勝馬頭数、勝利数、収得賞金とすべての記録を塗り替えた。「オンファイアもディープインパクトがいなければ話題になるくらいの活躍ですし、当然、この馬に対する期待も大きいですよ」と表情が明るい。

 黒鹿毛の、薄い皮膚に包まれた馬体は現役時代のシャープは失われたものの、ひとまわり以上の貫禄がついて逞しさに満ちている。父サンデーサイレンスっぽい額の流星も、心強く見える。そんなブラックタイドの馬体を受け継いだ産駒は、骨太で雄大な馬体を持つとして評判になっている。「産駒は何頭か見ていますが、見栄えのよい馬が多いですね。弟たちに先を越されてしまったので負けないように頑張って欲しいですね」と期待している。

 取材当日。放牧地でのんびり過ごしているブラックタイドがいた。「それでもね、やっぱりサンデーサイレンスの産駒ですよ。おとなしいわけがない。まだ10歳と若いですし、ひと言で言えばヤンチャですね」と表現した。スイッチが入ったときは、立ち上がったりするというから、油断がならないらしい。

 「そんな馬ですから、種付けなんかは凄いですよ。雄雄しく2本の後ろ脚で立ち上がったりしますが、そんな姿が父のサンデーサイレンスを彷彿させます。それに、何よりも種付けが好きですね」と笑った。たいていの場合は1回で決めてくれるという。

 「期待されていると思いますし、その期待に応えられる馬だと思います。産駒のデビューが待ち遠しいですよ」という顔は自信にあふれていた。