重賞ウィナーレポート

2017年12月28日 ホープフルS G1

2017年12月28日 中山競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:タイムフライヤー

プロフィール

生年月日
2015年02月01日 02歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:5戦3勝
総収得賞金
239,480,000円
ハーツクライ
母 (母父)
タイムトラベリング  by  ブライアンズタイム(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
(有)社台コーポレーション白老ファーム (白老)
調教師
松田 国英
騎手
C.デムーロ

 2017年からG1レースに昇格したホープフルS(G1)。その最初の勝ち馬となったのは、白老ファームが生産したハーツクライ産駒である、タイムフライヤーだった。

 「その年の最後の重賞、しかもG1レースを勝利で飾れたのは嬉しいですし、気持ちよく新年が迎えられました」と話すのは、白老ファームの石垣節雄繁殖主任。その石垣繁殖主任はホープフルS(G1)の当日に、中山競馬場にタイムフライヤーの応援に出かけていた。

 「パドックを周回する姿にも落ち着きがあり、無駄な力が入っていないようにも見受けられました。これならいい状態でレースを迎えられるとも思いました」

 その堂々とした姿に「2歳馬離れしている」との印象も持ったという石垣繁殖主任。しかし、その血統背景、そして幼少期の馬体共に、タイムフライヤーが2歳の重賞から勝ち負けのレースが出来る馬となるとは、全く想像しえなかったと話す。

 「近親にはタイムパラドックス(JBCクラシック(G1)連覇などG1 5勝)の名前があり、父にブライアンズタイムを持つ母のタイムトラベリングは全兄弟となります。タイムパラドックスはそのブライアンズタイムの特徴が出たというのか、骨格はしっかりしていながらも、ここにいた頃は決して目立った馬ではなかったですね。タイムトラベリングも小柄には出ましたが、仔出しはそれほど小さくならず、タイムフライヤーもいい仔が出てくれたなとの印象がありました」(石垣繁殖主任)

 ジョリーザザの牝系は大物を出す傾向にあると見ていた石垣繁殖主任だったが、その可能性を高めたのが、父ハーツクライ×母父ブライアンズタイムのニックスだったと分析をする。

 「ハーツクライの卓越したスピードに合うのは、母父にダート系の血を持つ種牡馬なのではと思っていました。父ハーツクライ、母父ブライアンズタイムの配合からも、マジックタイム(ダービー卿ChT(G3)、ターコイズS)などの活躍馬が出ていましたし、個人的にはこの配合は注目していましたね」(石垣繁殖主任)

 白老ファームを離れ、早来ファームで中期育成が行われたタイムフライヤーは、追分ファームリリーバレーで騎乗育成へと入る。今年、追分ブランドの生産育成馬であるペルシアンナイトがマイルChS(G1)を優勝しているが、白老ファーム生産馬のタイムフライヤーだけでなく、ルヴァンスレーヴも全日本2歳優駿(Jpn1)を優勝と、白老F=早来F=追分Fリリーバレーラインの流れからも、2頭のG1馬が誕生した。

 「生産、そしてイヤリングの馬を2歳の早い時期から活躍させてくれただけでなく、G1という大きなタイトルまで導いてくれた、追分ファームリリーバレースタッフの皆さんには感謝しかありません。今後もこの活躍に続く馬を送り出していきたいですね」(石垣繁殖主任)

 デビュー戦では同じ白老ファームの生産馬で、後に札幌2歳S(G3)を制するロックディスタウンの前に2着に敗れたタイムフライヤーだったが、続く2歳未勝利戦、そして萩Sを勝利。初めての重賞挑戦となったラジオNIKKEI杯京都2歳S(G3)でも勝ったグレイルとはアタマ差の2着に入る。

 「ラジオNIKKEI杯京都2歳S(G3)は勝ち馬に目標とされたレースでしたし、過去4走の内容を見ても、重賞で勝ち負けできる能力は持っていると思えました。それでもスタートのタイミングが合わなかった時には、どうなるのだろうか?と思いました」

 スタートで立ち後れたタイムフライヤーは、それまでのレースとは違って、後方からのレースを余儀無くされる。しかし、1000m通過が59秒6とラップが速くなったこと、そして鞍上のC.デムーロ騎手の好騎乗に導かれながら、最後の直線では馬群の外に進路を向けていく。

 「最後の直線は行けるというより、行け!でしたね(笑)。でも、これまでのレースを見ていてもしっかりとした末脚を使っていたので、ゴール前は安心して見ていられました」(石垣繁殖主任)

 この勝利が初重賞制覇、そして初G1制覇ともなったタイムフライヤー。勿論、賞金面で今年のクラシック出走を確定させただけでなく、皐月賞(G1)と同じ中山芝2000mを勝てたことは、クラシック制覇に向けてまたとない後押しともなった。

 「血統背景からしても距離の不安はありませんし、タイムパラドックスの活躍からしても、まだまだ成長してくれるはずです。今年は同世代の生産馬たちも目立った活躍を残してくれていますし、いい年になりそうですね」(石垣繁殖主任)

 まさにゴールデンイヤーとなりそうな今年の白老ファーム。その中でもタイムフライヤーに代表される2015世代の生産馬たちは、「ゴールデンエイジ」と言えるような活躍を残してくれるに違いない。