重賞ウィナーレポート

2017年10月22日 菊花賞 G1

2017年10月22日 京都競馬場 雨 不良 芝 3000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:キセキ

プロフィール

生年月日
2014年05月13日 03歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:8戦4勝
総収得賞金
701,403,000円
ルーラーシップ
母 (母父)
ブリッツフィナーレ  by  ディープインパクト
馬主
石川 達絵
生産者
下河辺牧場 (門別)
調教師
角居 勝彦
騎手
M.デムーロ
  • レース後は集まった関係者と万歳
    レース後は集まった関係者と万歳

 10月22日、京都競馬場で「第78回菊花賞(G1)」が行われ、1番人気キセキが最後の直線で力強い走りを見せて優勝。期待されながらも春シーズンのクラシックは不参加だった悔しさを、三冠最後の一戦で晴らした。そのとき、生まれ故郷の下河辺牧場(日高町)は歓喜に包まれた。

 記憶にも、記録にも残るような雨中の大激戦を制したのはキセキだった。降り続く雨により馬場状態は不良。菊花賞(G1)が不良馬場で行われたのは2013年(勝馬エピファネイア)以来のことだが、優勝タイムの3分18秒9は、14年にトーホウジャッカルが記録したレコードタイムよりも17秒以上遅いもので、近30年でもっとも時計がかかる馬場状態。菊花賞(G1)が3分18秒以上かかったのは、1946年までさかのぼらなければならない。まさに死闘だった。

 この日、社長の下河辺行雄さんは父の俊行さんとともに京都競馬場で愛馬を応援。牧場では社長の実弟で専務の隆行さん(44)が牧場事務所のテレビで応援していたという。「馬場状態が心配でしたが。それ以上に1番人気という支持をいただいたことにビックリ。レースの前は、こちらが緊張してしまいました」と笑った。

 牧場時代は「手がかからない馬」だったそうだ。ただし、5月13日生まれということもあって、成長曲線がゆっくりだったそうでデビューは2歳12月。新馬戦から類まれなる素質を示したものの、その後は勝ちきれないレースが続いた。

 「毎日杯(G3)3着のあと、ダービー(G1)出走にこだわるという選択肢もあったと思いますが、そこで休ませた英断が今日の勝利につながったのでは。石川オーナー、角居調教師に感謝です」と振りかえり「ロンドンブリッジの孫というのも嬉しいです。このファミリーは牧場の宝物」と笑顔をみせて「まだ成長途上だと思います。まだ強くなってくれるはず。まずは無事に次のレースを迎えて欲しい」と期待を込めた。

 現在の下河辺牧場は1966年に開場。95年からは育成部門をスタートさせ、生産から育成を行う総合牧場として第一歩を踏み出した。生産、イヤリング、トレーニング部門併せて約250㌶の土地と繁殖牝馬120頭を、約70人のスタッフで強い馬づくりを目指している。これまでの活躍馬にはスティルインラブ(桜花賞(G1)、オークス(G1)、秋華賞(G1))ダイワエルシエーロ(オークス(G1))アユサン(桜花賞(G1))ダノンシャーク(マイルチャンピオンシップ(G1))ショウナンアデラ(阪神ジュベナイルフィリーズ(G1))がいる。

 レース直後には日高町の三輪茂町長や、本間充門別町農協組合長らも駆けつけて、隆行さんに労いの言葉をかけて喜びを分かち合った。