重賞ウィナーレポート

2017年06月04日 安田記念 G1

2017年06月04日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サトノアラジン

プロフィール

生年月日
2011年02月16日 06歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:23戦8勝
総収得賞金
450,903,000円
ディープインパクト
母 (母父)
マジックストーム(USA)  by  Storm Cat(USA)
馬主
里見 治
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
池江 泰寿
騎手
川田 将雅

 日本ダービー(G1)の歓喜から1週間後。また、ノーザンファーム関係者はG1制覇の喜びに包まれた。

 しかも、安田記念(G1)を制したサトノアラジンの育成先は、日本ダービー馬となったレイデオロと同じくノーザンファーム空港牧場であり、しかも育成先のA-1厩舎までも一緒。殊勲の立役者とも言える大木誠司厩舎長は、東京競馬場へ応援に出かけたレイデオロの時とは違って、今回は自宅からサトノアラジンに声援を送っていた。

 「2週連続G1勝ちを、この厩舎から送り出せたことは凄いと思いました。それでもサトノアラジンという素晴らしい馬に接してきた者としては、早くG1馬にさせてあげなければとの思いもありましたし、それを果たせた喜びの方が大きかったような気がします」

 全姉にエリザベス女王杯(G1)の勝ち馬ラキシスがいる血統背景だけでなく、その馬体の良さも評価される形で、セレクトセールの当歳セクションでは1億3,650万円(税込)で取引されたサトノアラジン。育成時から大きな期待をかけられており、大木厩舎長もメイクデビューの勝ちっぷりを見た時に、クラシック制覇への期待を持つようになる。

 「日本ダービー(G1)で勝ち負けができる馬になるとも思っていました。ただ、気性面と成長が上手くかみ合わず、その後の重賞では思うような結果が残せませんでした」

 デビュー戦は芝のマイルだったものの、その後はクラシックを意識した条件でレースに臨み、3歳の秋には菊花賞(G1)にも出走したサトノアラジンだったが、その後は芝のマイル、時には芝1400mのレースも使っていくようになる。

 「気性的なこともあったのでしょうが、距離を詰めてからレースが安定してきたような印象を受けます。はまったときの末脚は見ていても凄いと思えましたし、この条件ならG1を狙えるのではと思うようにもなりました」

 2015年の香港カップ(G1)以降、芝の短距離を中心にG1に臨んでいくサトノアラジンであったが、それでも勝ちきれないレースが続いていく。2016年のマイルチャンピオンシップ(G1)、香港マイル(G1)と一番人気の支持を集めたにも関わらず、末脚を発揮することはできなかった。

 一番人気に支持された京王杯スプリングカップ(G2)も馬場の悪化に泣かされ、9着に惨敗。この安田記念(G1)では7番人気まで人気を落とすも、大木厩舎長はG1制覇への期待をしていた。

 「馬場状態も良かったですし、何よりも前走より状態がいいとの話も聞いていました。直線を向いた時には行けると思いましたが、それでも内でロゴタイプも粘っていましたし、最後は交わせ!と祈っていました」

 これで2週連続での育成馬によるG1制覇となったが、実はノーザンファーム生産馬としてはレイデオロが最初であり、サトノアラジンは2頭目ともなる。

 「牧場の仲間たちからも『どうしたの?』と言われています(笑)。この仕事をしていても、育成馬が2週連続でG1を勝ってくれることはなかなか無いと思いますし、今まで勝ちきれなかった分、ここにきて運が向いてきたのかなとも思っています」

 サトノアラジン、レイデオロのG1勝利は決して運だけでは無い。大木厩舎長がA-1厩舎の厩舎長となって以降も、サダムパテック(マイルChS(G1))、ディープブリランテ(日本ダービー(G1))といったG1馬だけでなく、重賞勝ち馬も毎年のように活躍馬を送り出している。

 「それだけ素質の高い育成馬を任せていただいたということでもあるのでしょうし、これまで様々な馬に携わってきた経験を、スタッフと共にフィードバックできたことも繋がっているのだと思います。サトノアラジンはゆくゆくは種牡馬になる馬だとも思っていますし、G1 1勝ではなく、まだまだタイトルを積み上げてもらいたいです」

 メイクデビュー東京ではノヴェリストの初年度産駒となるヴァイザー(牡2、高橋亮)も勝利と、現2歳世代からも楽しみな馬が出てきたA-1厩舎の育成馬。サトノアラジン、レイデオロに続くG1ホースもこの2歳世代から出てきそうな気がしてくる。