重賞ウィナーレポート

2014年10月25日 富士S G3

2014年10月25日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ステファノス

プロフィール

生年月日
2011年02月13日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:10戦4勝
総収得賞金
344,599,000円
ディープインパクト
母 (母父)
ココシュニック  by  クロフネ(USA)
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
藤原 英昭
騎手
戸崎 圭太

 祖母にマイルチャンピオンシップ南部杯(G1)を含む、ダート重賞5勝のゴールドティアラを持つステファノスが、輝かしいブラックタイプに重賞タイトルの黒文字を刻み込んだ。

 「小柄な馬が多いディープインパクト産駒の中でも、母父にクロフネが入っているからか、馬体の小ささや華奢な部分が見受けられなかっただけでなく、調教もとても順調に進んだ優等生でした」とは、ノーザンファーム空港牧場でステファノスの騎乗育成に携わった大木誠司厩舎長。デビュー前にはPOG(ペーパーオーナーゲーム)媒体にもその姿を見せるようになったステファノスであるが、大木厩舎長もまた、クラシックを沸かせるような馬になると思っていた。

 「血統的には短い条件が合っているのかもしれませんが、騎乗していた感想としては折り合いも付く馬でしたし、距離の不安も全く無かったですね」(大木厩舎長)

 デビューは2歳の7月、メイクデビュー中京と早いデビューとなったものの、勝ちあがったのは12月に阪神競馬場で行われた2歳未勝利戦。そこから一気にクラシック戦線に参戦していくかと思いきや、500万下のつばき賞こそ勝ったものの、毎日杯(G3)では3着と、賞金を加算できないまま、皐月賞(G1)を迎えることになる。

 「賞金面では出走は無理かと思っていましたが、登録頭数が少なかったことや、回避馬が出たことで出走が叶った時には、とりあえずの目標を果たせたとの思いはありました。人気は無かったものの、掲示板(5着)には乗ってくれましたし、次に繋がるレースを見せてくれたと思っていました」(大木厩舎長)

 ステファノスの競走成績を振り返ると、この皐月賞(G1)を始め、これまでの10戦で一度も掲示板を外していないことに気付かされる。また勝ち鞍はこの富士S(G3)を含め、芝1600mで2勝、芝1800mで2勝となったが、だからとはいえ、大木厩舎長はステファノスをマイラーだとは思っていない。

 「白百合Sの後、牧場で調整を行っていたのですが、全体的に力こそついたものの、まだまだ成長の余地も感じられました。好走を見せている条件があっているというよりも、競走馬として完成したのなら、まだ違った一面を見せてくれるのではとも思うようになりました」(大木厩舎長)

 4着に敗れたセントライト記念(G2)ををはさみ、古馬とは初めてのレースとなった富士S(G3)安定した実績が買われ、2番人気の支持を集めると、上がり32秒9の末脚を使って、クビ差シャイニープリンスを交わしさる。

 一躍、マイル界の新星に踊り出た感もあるステファノスだが、陣営は先を見越してマイルチャンピオンシップ(G1)には出走しないことを決めた。

 「藤原(英昭)先生もレース後に話しておられましたが、マイルが合っているというより、東京競馬場で行われたレースだからこそ、ああいった勝ち方ができたのだと思います。むしろ、マイル適性も持ち合わせていることが結果にも証明できたので、今後のレース選択の幅が広がりました」(大木厩舎長)

 思えば祖母のゴールドティアラがG1を勝ったのも5歳秋のこと。しかも祖母は芝でも勝利し、オープンまで上り詰めたのにも関わらず、ダート戦で初重賞制覇を果たした。この血統通りの成長力、そしていい意味で期待を裏切る幅広い活躍など、ステファノスには祖母の遺伝子がしっかりと受け継がれているようだ。