重賞ウィナーレポート

2014年09月28日 オールカマー G2

2014年09月28日 新潟競馬場 晴 良 芝 2200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:マイネルラクリマ

プロフィール

生年月日
2008年02月20日 06歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:25戦6勝
総収得賞金
329,546,000円
チーフベアハート(CAN)
母 (母父)
ティアドロップス  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
(株) サラブレッドクラブ・ラフィアン
生産者
武 牧場 (静内)
調教師
上原 博之
騎手
戸崎 圭太
  • 当歳放牧地。一番右にいる芦毛馬がパーシャンブルーの2014
    当歳放牧地。一番右にいる芦毛馬がパーシャンブルーの2014
  • 繁殖馬の放牧地と厩舎
    繁殖馬の放牧地と厩舎
  • 山ノ井場長
    山ノ井場長
  • 10年以上経っているというきれいな厩舎
    10年以上経っているというきれいな厩舎
  • 場内にある立派な木々
    場内にある立派な木々
  • 牧場入口前にある看板
    牧場入口前にある看板
  • 二十間道路沿いにある牧場の看板
    二十間道路沿いにある牧場の看板

 今年は、新潟競馬場で行われた第60回オールカマー(G2)。直線残り1ハロンで抜け出しにかかった2番人気のマイネルラクリマは、他馬の追撃を最後まで退け、そのまま力強くゴールを駆け抜け、重賞3勝目を挙げた。

 同馬を生産した武牧場は、全国的にも有名な新ひだか町静内の桜の名所、二十間道路沿いにある。春には、桜の花と放牧されたサラブレッドという何とも美しい光景が見られる。繁殖馬13頭を飼養する生産牧場。斜面にある放牧地の向こうには紅葉の山があり、繁殖馬がのんびり草をはんでいる。離乳シーズンも終わりに向かっている。同馬は、1歳の春頃までここで育った。サンデーサイレンスの血を引く馬らしい気の強いところはあるものの扱いやすく、馬体は産まれた時から目を引いていたという。オータムセール当歳で取引された。

 オールカマー(G2)当日、同牧場の山ノ井紀明場長は、テレビで観戦していた。「新潟の内回りは合うと思っていたので、安心して見ることができました。この馬のレースは、いつも接戦になるのでゴール前は応援に力が入りました」。レース後は、電話が鳴りっぱなしで、たくさんのお祝いも届き、嬉しい対応に追われた。「大きな怪我をして、いまも脚にボルトが入っているのに頑張ってくれた。」と本馬初のG2制覇を労う。牧場を巣立った後もずっと気になり、ビッグレッドファームのスタッフに本馬の情報をよく教えてもらっているそうだ。

 2009年の菊花賞馬スリーロールスや2006年の阪急杯(G3)勝利などで活躍したブルーショットガン等、生産馬がコンスタントに活躍する秘訣を聞いてみた。15年以上もここに勤めているという山ノ井場長は、少し照れた表情を見せながらも「特別なことは何もしていない」という。例えば、朝夕の放牧の出し入れの際には馬体をチェックし、早く異常を発見するなど、「普通のことを繰り返し行うこと」を大切にしているそうだ。また、スタッフは7名程いるが、長年勤めている方ばかりなので「すごくやりやすい」と柔らかな笑顔で話す。そういう牧場の雰囲気も馬に良い影響を与えているのかもしれない。

 かつてマイネルラクリマも駆けていたという広い放牧地では、当歳馬が楽しそうに駆けていた。今年は牡馬が多く産まれ、ほとんどの行き先がすでに決まっているという。中には、今年の当歳セレクトセールにて2052万円(税込)で取引されたパーシャンブルーの2014(牡・父クロフネ)もいた。山ノ井場長、期待の一頭だ。

 その放牧地へ続く道には、大きく立派な木がいくつもある。落ち葉が舞ってくるのを見て「今の時期は、掃除が大変」と言いながら、優しい表情になった。武社長の方針で、木に限らず命あるものを大事にしているそうだ。こういう想いが、馬にも伝わっているのではないだろうか。

 秋の大事な一戦を制したマイネルラクリマの次走は、天皇賞(秋)(G1)が予定されている。山ノ井場長は、香港のチャンピオンズマイル(G1)から帰国後、好調の本馬に対し「エプソムC(G3)では2着に負けこそしたけれど、善戦していた。一つでもG1を勝ってくれたら嬉しい」と期待。「もう6歳なので、1戦1戦無事に」と祈りながら、エールを送っている。