重賞ウィナーレポート

2014年08月24日 札幌記念 G2

2014年08月24日 札幌競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ハープスター

プロフィール

生年月日
2011年04月24日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:7戦5勝
総収得賞金
360,248,000円
ディープインパクト
母 (母父)
ヒストリックスター  by  ファルブラヴ(IRE)
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
松田 博資
騎手
川田 将雅

 素晴らしいレースだった。新装されたスタンドの下で行われた第50回札幌記念(G2)。この日、競馬場に足を運んだファンは4万6097人。グランドオープンしてからはレコードの入場人員であり、札幌競馬場の歴史でも史上3番目となる入場人員となった。

 勿論、新スタンドや様々なイベントを見るために足を運んだ人もそれなりの数はいただろうが、大多数のお目当てとなったのが、「スーパーG2」とも言われる札幌記念(G2)。しかも今年はG1馬4頭が集結。その中には、今年の桜花賞馬となったハープスターの姿もあった。

 「新聞紙上などにも出ていましたが、オークス(G1)の後、牧場に戻ってきた時には爪の状態がそれほど良くなく、様々な工夫を重ねながら運動をさせてきました」とは育成時、そして休養時とノーザンファーム早来牧場で、ハープスターを管理してきた日下和博育成厩舎長。太りやすい体質であるというハープスターだけに、運動量が減った際にも、様々な取り組みを行いながら調教を進め、その成果が休み明けにも関わらずプラス2キロという馬体重にも現れている。

 「幸いなことに競馬場に入ってからは、順調に調教が続けられただけでなく、最終追い切りも時計を含めて、いい感じに仕上がってくれました。この追い切りの後、レース週の金曜日にハープスターを訪ねに厩舎まで行ってきたのですが、牧場で調整された時よりも更に引き締まった馬体をしていました。改めて普段から管理をしてくださっている、松田(博資)先生、そして厩舎スタッフの皆さんの管理に圧倒されていました」(日下厩舎長)

 レースはG1 5勝という、メンバー中随一の実績を持つゴールドシップとのマッチレースとなった。道中、最後方から進んだゴールドシップのやや前でハープスターはレースを進めて行く。持ち味とも言える後方一気の戦術を取ることなくレースを進めて行くその姿、何よりもゴールドシップの位置取りに、4万人を遙かに超えるファンからはどよめきも起こっていた。

 しかし、3コーナー手前で更にどよめきは大きくなる。ゴールドシップが大外を回りながら上がっていったのよりも先に、ハープスターも仕掛けを始めたからだ。最後の直線、ハープスターが先頭に立ち、そこに外からゴールドシップが襲いかかるも、2頭の差はいつまでも縮まらない。

 「ゴールドシップのような強い馬と真っ向勝負を挑んでいてくれたことは、一競馬ファンとしても凄いことだなと思いましたし、それを3歳牝馬であるハープスターが見せてくれていることには感動もしました。結果は先着することができましたが、今後のハープスターの競馬人生においても、必ずいい経験となってくれたと思います」(日下厩舎長)

 その経験が生かされるのは、出走を表明している凱旋門賞(G1)となるのだろう。凱旋門賞(G1)には、札幌記念(G2)で共に戦ったゴールドシップだけでなく、ワールドベストレースホースランキングで世界一となったジャスタウェイも出走を予定。まさに現在の日本競馬におけるトップホース3頭が、日本競馬の悲願を果たしにロンシャンへと向かうことになりそうだが、その中でも斤量面で凱旋門賞では有利と言われる、3歳牝馬のハープスターへの期待は大きい。

 「レースの後、牧場に一度戻ってきたのですが、先日牧場を離れる時よりもパンとしていて、更に状態が上向いていることが感じられました。凱旋門賞(G1)は我々ノーザンファームのスタッフとしても夢のようなレースであり、そこに自分が初めて乗せてもらったG1馬であるベガの孫で、そして父も早来牧場で手がけたディープインパクトの娘であるハープスターで挑戦できることは、楽しみ以外の何ものでもありません。いい結果を残してくれればとの思いは勿論ですが、まずは無事に、そしてハープスターの力を出し切ってくれればと思っています」(日下厩舎長)

 凱旋門賞(G1)は現地でエールを送ることとなりました、とも教えてくれた日下厩舎長。長きに渡って成長を見届けてきた日下厩舎長の目の前で、きっとロンシャンのパドックを回るハープスターは、これまでになかったような成長と完成度を示して、そして栄光に向かって駆けだしていくはずだ。