重賞ウィナーレポート

2011年09月25日 オールカマー G2

2011年09月25日 中山競馬場 晴 良 芝 2200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アーネストリー

プロフィール

生年月日
2005年05月17日 06歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:21戦10勝
総収得賞金
582,909,000円
グラスワンダー(USA)
母 (母父)
レットルダムール  by  トニービン(IRE)
馬主
前田 幸治
生産者
ノースヒルズマネジメント (新冠)
調教師
佐々木 晶三
騎手
佐藤 哲三
  • 新冠町にあるノースヒルズ
    新冠町にあるノースヒルズ
  • 牧場では離乳が行われています
    牧場では離乳が行われています
  • オークス4着の実績馬ラティール(芦毛)
    オークス4着の実績馬ラティール(芦毛)
  • ラティールの2011(牝 父キングカメハメハ)
    ラティールの2011(牝 父キングカメハメハ)
  • ローブデコルテの2010(牝 父アグネスタキオン)
    ローブデコルテの2010(牝 父アグネスタキオン)

  下半期の大一番に向けての前哨戦、オールカマー(G2)は今年の宝塚記念(G1)の覇者アーネストリーが完勝。休み明け、59kgの斤量をものともせず、横綱相撲で秋の復帰戦を飾った。

  本馬の生産は新冠町の株式会社ノースヒルズ。今年は本馬に加えトランセンドが国内外のG1で素晴らしい成績を収めるほか、管理育成馬モンストールやラヴェリータも重賞制覇を果たし、各路線にタレントを擁している。現在、生産馬は昨年を上回るペースでJRA勝利数をマークしており、その勢いはますます加速していきそうだ。

  同牧場の福田洋志マネージャーにレースの感想を伺うと、「秋に向けて良いスタートを切れてほっとしています。アーネストリー向きの中山コースということもありましたが、レースレコードでの決着でしたし、内容は濃かったと思います。」と、喜びを語る。出走予定だった札幌記念(G2)回避後は同牧場へ移動し、その後、鳥取の大山ヒルズ(同牧場グループの育成拠点)で調整して栗東トレーニングセンターへ戻った。輸送の影響で馬体減での出走となったが、陣営の入念なケアが実を結び、隙を与えぬ完封劇で更なるG1勝利に弾みをつけた。

  本馬はレットルダムールの4番仔として誕生。生まれは5月17日で、どちらかというと遅生まれの部類に入るが、初勝利までに15戦を要した母馬とは対照的に、2歳7月に早々とデビュー勝ちを決めた。福田さんは、「離乳したのは後半のグループでしたが、至極順調に育成を進めることができ、早期デビューにつながりました。」と、当時を振り返る。未完成の大きな馬体と一生懸命走り過ぎる気性から、熟成には時間をかけた。余裕を持ったローテーションが選択され、大器は虎視眈々と鍛えられた。6歳秋、5つ目の重賞タイトルを獲得し、日本の総大将の地位へ上りつめている。

  同牧場では開業以来、牧場スタッフの欧米のセリ見学や重賞レース出走馬の現地応援を叶えている。これは前田幸治オーナーの考えで始まり、牧場スタッフの勉強や励みとなる機会を大切にしている。今回も同牧場と大山ヒルズから5名のスタッフが現地に赴き、栄えある勝利をかみしめてきた。「海外研修や競馬場でトップクラスの馬を見ることで、スタッフのモチベーションにつなげています。」と、福田さん。手厚いサポートで“チャレンジング・スピリット”の牧場理念を揺るぎないものとし、活躍馬を送る裏側で強いチームづくりも抜かりなく展開されている。

  次走予定は天皇賞(秋)(G1)。同郷のヘヴンリーロマンスに続く勝利がかかっている。厩舎、オーナーサイドは“来年は海外にも積極的に挑戦していきたい”との意向を示しており、様々な意味合いを帯びながらの本番だ。ファンが求む強い日本馬へ、その声援はことさら大きくなって、彼の背中を後押ししていくに違いない。