馬産地ニュース

日本軽種馬協会静内種馬場で2017年(第39期)生産育成技術者研修修了式

  • 2018年03月19日
  • 日本軽種馬協会静内種馬場で行われた修了式
    日本軽種馬協会静内種馬場で行われた修了式
  • 来賓や家族が見守る中、行われた騎乗供覧
    来賓や家族が見守る中、行われた騎乗供覧
  • 式辞を代読する益満宏行参与
    式辞を代読する益満宏行参与
  • 仮屋春香さんの研修生代表謝辞
    仮屋春香さんの研修生代表謝辞

 3月17日、新ひだか町静内田原にある日本軽種馬協会静内種馬場研修所講義室において、2017年(第39期)生産育成技術者研修修了式が行われた。

 この研修は、競走馬の牧場で生産・育成関連の仕事に就業することを目的とし、強い馬づくりを担える技術者の養成を行うもの。1年間の研修で、基礎技術・知識を身につける。

 第39期生は、北海道、栃木県、千葉県、神奈川県、東京都、京都府、大阪府、愛媛県、福岡県から入講した、18歳から27歳の10人(男女各5人)。昨年4月の開講から、一人も欠けることなく厳しい研修を終え、この日、晴れて修了の日を迎えた。10人は全員、北海道内の軽種馬生産育成牧場への就業が決まっている。

 修了式に先立って屋内馬場では騎乗供覧が行われ、本部から駆けつけた益満宏行参与、中西信吾場長、来賓や就業先の関係者、第39期生の家族が見守る中、第39期生は、人馬一体となった騎乗技術を披露。わずか1年間の研修で、たくましく成長した姿に拍手が送られた。

 続いて講義室に会場を移して修了式が行われ、中西場長が第39期生10人に修了証書と記念品を授与。益満参与は「本日、公益社団法人日本軽種馬協会第39期生軽種馬生産育成技術者研修の修了式を挙行するにあたり、ひとことごあいさつ申し上げます。まずもって、昨年から1年間、厳しい訓練を耐え抜き、本日晴れて研修を修了される研修生の皆様には、心からお祝いを申し上げます。また、御来席の来賓、ご家族の皆様には、ご多用中にもかかわらず、ご臨席を賜り、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 さて、一時期、苦しい状況におかれていた競馬産業も、ここ数年、競馬開催の売り上げが連年で前年を上回り、再び盛り上がりを見せておりますが、いつの時代においても、競馬を盛り立てていくためには、多くのファンを引き付けるような、強い競走馬を生産育成し、競走の魅力を向上させることが、最重要課題のひとつとなっており、そのためには、生産育成の分野における、専門的な訓練を受けられた、皆様のような技術者の力が不可欠でございます。
 本協会では、生産育成界の期待に応えうる技術者を養成するため、平成2年より本研修を実施してまいりましたが、その修了者は皆様を含めて、今年で436名となります。本研修修了者に対する、業界内の評価は非常に高く、今回巣立たれる皆様を含め、修了生の就職率は100%を記録しております。また、定着率も約8割と高い水準にあり、競馬サークルに少なからぬ貢献をいたしております。本研修がサークル内でこのように高い評価を得られるようになった背景には、皆様の先輩方の尽力があったことはいうまでもありません。皆様もプロとしてこの道を選択されたからには、自分を厳しく律して精進され、生産育成界の担い手となってください。わたくしどもは、皆様がここで学ばれた知識や技術を余すところなく実践の場で発揮されることを心から願っています。
 結びに、本日ご臨席を賜りましたご来賓、ご家族の皆様に再度、衷心より御礼申し上げます。また、修了生の受け入れ関係者の皆様におかれましては、これら意欲に満ちた青年たちに対し、温かいご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、はなはだ簡単ではございますが、ご挨拶とさせていただきます」と河野洋平会長理事の式辞を代読した。

 来賓からは山口修二日高振興局局長、平賀敦JRA日本中央競馬会日高育成牧場場長、木村貢日高軽種馬農業協同組合代表理事組合長が祝辞。最後に研修生を代表して仮屋春香さんが「本日はお忙しい中、私たち39期生生産育成技術者研修修了式にお越しいただき、ありがとうございました。今日、10人そろって修了を迎えたことを、心より感謝申し上げます。思い返せばこの一年、四季折々を通して、たくさんの経験を積むことができました。
 春、何もかも初めてで、作業で慣れない道具を使い、寝藁あげで悪戦苦闘したのは今でも覚えています。あのころは朝の作業が予定の時間に終わらず、馬に乗る時間があるかと不安になったものです。
 夏、とても暑かった北海道、馬に乗り始めて3か月ほどたったときのこと、少しの気の緩みで騎乗馬全頭が猛スピードで駆け抜けられてしまった騎乗。馬の本気を知りました。そして、牧草の収穫作業では、約800個に及ぶ15キロほどの乾草を、『トラックに積み上げます』と、先生から平気な顔で言われた時、正直、この人、正気かな、と思いました。草刈り作業では、最初はうまく機械を操れないためトラ刈りになり、よく教官に笑われたのもいい思い出です。
 秋、育成牧場での体験実習では、研修乗馬とは一味違う、育成馬の難しさや現役の競走馬の力強さを感じて、自分はまだまだ未熟だと、身をもって感じました。座学である10日間の短期集中講義では、馬の蹄の管理から腰痛体操まで、専門的な知識を身につけることができました。
 冬、マイナス18度の中、研修は肌が出ているところ、すべてが凍りつくと思うくらいの寒さでした。そんな北海道の洗礼を受けつつ行なった種馬場実習、G1馬に乗るという貴重な体験をさせていただき、あの大きな柔らかな動きは、本物だ、と感じることができました。これから、このような馬をつくる、育てる、という目標になりました。
 そして、また、春を迎えようとしています。4月からは、私たち10名は、それぞれの道を歩むことになりますが、向かう方向はみな同じ、一流のホースマンになるべく、日々精進していきたいと思います。最後となりましたが、無事全員でこの日を迎えられたのも、場長はじめ、いつも私たちのことを支えてくださった先生方、食事など毎日の生活の世話をしていただいた寮監、相原さん、その他多くの関係者の皆様、そして、なんといっても馬という動物を一番教えてくれた研修乗馬たちに感謝します。本日は本当にありがとうございました」と謝辞した。