道営記念はステージインパクトが叩き合いを制し優勝
15開催80日間に及んだ2017年ホッカイドウ競馬の最後を飾るのはJBC協会会長賞「農林水産大臣賞典第60回道営記念」【スクリーンヒーロー賞】。11月9日、1,389人のファンを集めた門別競馬場で行われた。
ドレミファドンが取り消したもののファン投票で選ばれた馬8頭含め3歳から9歳までの15頭によって争われることになった同レース。人気を集めたのは春シーズンは重賞3連勝、エルムS(G3)をはさんで旭岳賞を勝つなど今年1年道営競馬を引っ張ってきたオヤコダカと、長いブランクを乗り越えて復活を遂げた14年のダービーグランプリ覇者ドラゴンエアル。後者は「1600m戦ではオヤコダカに一日の長がある」と言わんばかりに盛岡競馬場や大井競馬場へ遠征しながら牙を磨いてきた。
初対決となった瑞穂賞は1800m。この日、いつものような唸る勢いを失ったオヤコダカに対してドラゴンエアルは4角でインコースに進路を取って優勝。伸び悩んだオヤコダカはジュエルメッセージにも先着を許し、門別競馬場では3歳時の道営記念以来、約2年ぶりに連対を外してしまっていた。
オッズは同じ2.2倍を示していたが、昨年の雪辱を期すオヤコダカが投票数の差で1番人気となった。
離れた3番人気は5歳牡馬のステージインパクト。重賞路線を避けるようにキャリアを積んできた未知の魅力と、五十嵐騎手の手綱さばきに期待しての人気となった
レース前には毎年恒例となった静内高校吹奏楽部によるファンファーレとダンスが披露され、その余韻冷めやらぬままスタート。最初に飛び出したのは芦毛のワットロンクン。同じ芦毛のオヤコダカ、ジュエルメッセージが続き、ドラゴンエアルは後方待機。ステージインパクトは中団やや後方。オヤコダカは、いつものように3~4角で先頭に立つも、春シーズンのような勢いがない。中団にいたはずのステージインパクトがいつの間にか2番手にあがり、前を追う。「負けられないオヤコダカと、勝ちたいステージインパクト」4コーナーをまわったオヤコダカが突き離すも五十嵐騎手渾身のムチに応えるように伸びたステージインパクトがアタマ差出たところがゴールだった。外から追い込んだドラゴンエアルが3着。前年の二冠馬スティールキングが4着で、スティールキングの三冠を阻んだジャストフォファンが5着。ぞれぞれの世代を代表する馬たちが死力を尽くして見るものを魅了した。2分7秒2(不良)のドラマだった。
昨年のタイムビヨンドに続いて騎手として2連覇を成し遂げた五十嵐騎手は「レース前からチャンスがあると思って騎乗しました。前のオヤコダカと、後ろのドラゴンエアルにはさまれて動くタイミングは難しかったですが、最後は無我夢中で追いました。勝ててうれしいです」と笑顔を見せた。
ステージインパクトは父ヴァーミリアン、母クラッシードレス、母の父エリシオという血統の5歳牡馬。2013、14年のグランダムジャパン古馬シーズン2連覇のアスカリーブルなどを生産した日高町の高山牧場馬。JRAでデビューしたものの思うような芽が出ず、園田競馬へ移籍。6連勝で一躍トップホースとなったのちにホッカイドウ競馬へ移籍。今シーズンは重賞路線を避けるようにオープン特別を4勝。ドゥラメンテプレミアム2着を足掛かりに頂点へ登りつめた。