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競走馬育成協会が育成技術講習会

  • 2017年10月19日
  • 新ひだか町で開催された育成技術講習会in北海道
    新ひだか町で開催された育成技術講習会in北海道
  • 講師を務めた遠藤祥郎JRA日高育成牧場業務課診療防疫係長
    講師を務めた遠藤祥郎JRA日高育成牧場業務課診療防疫係長
  • 200人以上の牧場関係者が出席した
    200人以上の牧場関係者が出席した

 10月18日夜、公益社団法人競走馬育成協会(栗田晴夫会長理事)は、新ひだか町静内古川町にある新ひだか町公民館・コミュニティーセンターにおいて、「育成技術講習会in北海道」を開催した。

 講習会はJRA日本中央競馬会、BTC軽種馬育成調教センターも共催。育成調教技術の改善・普及を図るためで、今年は遠藤祥郎JRA日高育成牧場業務課診療防疫係長を講師に招聘して「米国流のブレーキング・初期育成法の特色~日本での応用を考える~」をテーマに講習が行われた。

 講習会には日高管内や胆振地区の育成牧場、生産牧場関係者など200人以上が出席。開会に先立ち主催者を代表して飯田正剛競走馬育成協会副会長理事・北海道支部長は、「本日はお忙しいところお越しいただきありがとうございます。育成技術講習会は今年で6年目になります。今回は調教の進め方をテーマにJRA日高育成牧場の遠藤祥郎様を講師にお招きしました。遠藤様におかれましてはご多忙のところ講師を引き受けてくださり、この場を借りてお礼申し上げます。遠藤様とはキーンランドのせりで何度かお会いしたことがあり、ナイスガイで今日の講演を非常に楽しみにしてまいりました。今日ご出席の皆様におかれましては、この講演を聞いて将来日本のホースマンとして成長していくためにとても為になるものと確信しております」と挨拶した。

 講師の遠藤氏は平成17年にJRAに入会。美浦トレーニングセンターで競走馬の診療に従事した後、日高育成牧場や宮崎育成牧場で診療の傍ら、実際にJRA育成馬に騎乗して育成調教を経験してきた。その後、約2年間、海外生産育成調教実践研修のため米国へ派遣。米国ではブライアンズタイムなどを生産した名門牧場・ダービーダンファーム、サマーバードやクリエイターⅡを所有したことでも知られる新進気鋭のウインスターファーム、ロージズインメイを生産したマーゴーファーム、全米年間最多勝記録を持ち米国の競馬の殿堂入りしている名調教師、スティーヴン・アスムッセン厩舎、ハグヤード馬医療機関、アジアエクスプレスを生産したフロリダのオカラスタッドなどで、スタッフの一員として研修し、サラブレッドが生れてから競走馬として出走するまでのすべてのステージを経験してきた。

 遠藤氏は講演の中で、米国の競馬、生産育成のシステムなどに言及し、日本との違い、米国での具体的なブレーキング、初期育成の様子をスライドや動画を駆使して紹介。米国で吸収した技術をJRA育成馬の育成調教にも取り入れていくとした。

 出席者からは「米国でのウォーキングマシーンの使い方は?」、「ウォーミングアップの時間は?」、「不整地馬場での調教で脚を痛める馬はいないのですか?」、「収牧してからどれくらいで調教を始めるのですか?」、「米国での育成馬の手入れはどのようにやってましたか?」など多くの質問が寄せられ、遠藤氏はわかりやすい言葉で丁寧に応答した。