馬産地ニュース

新ひだか町でJRAシンポジウム

  • 2017年07月14日
  • 45回目を迎えたJRAシンポジウム
    45回目を迎えたJRAシンポジウム
  • 開会挨拶するJRAの木村一人馬事担当理事
    開会挨拶するJRAの木村一人馬事担当理事
  • 馬鼻肺炎について講演するJRA日高育成牧場の冨成雅尚氏
    馬鼻肺炎について講演するJRA日高育成牧場の冨成雅尚氏
  • 全国から獣医師など約200人が出席した
    全国から獣医師など約200人が出席した

 7月13日、JRA日本中央競馬会は新ひだか町静内の静内エクリプスホテル2階エクリプスホールにおいて、「第45回生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウム」を開催した。

 シンポジウムには獣医師や牧場関係者など約200人が出席。JRAの木村一人馬事担当理事は「本日は大変ご多忙にもかかわらず、多くの皆様に出席していただきまして、誠にありがとうございます。とくに生産地の皆様におかれましては、日頃より予防接種推進事業や馬伝染性子宮炎蔓延防止対策事業、生産地疾病の調査研究になど、多大な協力いただいておりますことを、この場を借りてお礼申し上げます。
 本年のシンポジウムは、午前中に馬鼻肺炎による流産対策、午後からは感染症予防対策、有効な消毒法と医療施設における実践例をテーマに開催いたします。馬鼻肺炎ウイルスによる流産は昨年、調査開始以来最も多く発生したものと見られまして、生産地の大きな問題と認識しているところでございます。そうしたなか、3年前に発売された生ワクチンにつきましては、昨年の11月に妊娠馬に対する接種が承認されまして、本年から接種しています。シンポジウムでは、生ワクチンの有効性や接種方法についてもご講演いただくと聞いておりますので、このシンポジウムが、少しでも流産発生減少の一助になることを願っております。
 また、午後のシンポジウムでは、感染症対策として各消毒法の検討や各施設における消毒方法を紹介していただきます。ヒト医療におきましても、院内感染は大きな問題として取り上げられることもあり、有効な対策方法について活発な議論が展開されることを期待しております。演者並びに座長の皆様におかれましては、お忙しいなか御審議をいただき、ありがとうございました。このシンポジウムが軽種馬生産、および、その後の育成の一助となり、有意義な情報交換の場として機能することを期待しております」とあいさつした。

 午前中のシンポジウムは、北海道日高家畜保健衛生所の佐藤研志次長とJRAの松村富夫参与が座長となり、「馬鼻肺炎による流産対策」をテーマに4人の演者が講演。続いてアメリカでの獣医療についての帰朝報告があった。

 午後のシンポジウムは、JRA競走馬総合研究所の丹羽秀和氏を座長に、「感染症対策~有効な消毒法と医療施設における実践例~」をテーマに3人の演者が講演。一般講演ではJRA日高育成牧場生産育成研究室の羽田哲朗室長が座長となり、3人の演者が講演した。

 当日開催されたプログラムは下記の通り(敬称略)。

●シンポジウム1「馬鼻肺炎による流産対策」
座長:佐藤研志(北海道日高家畜保健衛生所次長)、松村富夫(JRA参与)
1)牧場における馬鼻肺炎流産の予防策 ○冨成雅尚(JRA日高育成牧場)
2)日高管内における流産発生状況とERV継続発生防止への取り組み ○宮澤 国男(北海道日高家畜保健衛生所)
3)馬鼻肺炎生ワクチン(エクエヌテクトERP)について-妊娠馬への効能追加- ○大森崇司(日本生物科学研究所)
4)妊娠馬での馬鼻肺炎生ワクチンの使用方法に関する考察 ○辻村行司(JRA競走馬総合研究所)
総合討論
●帰朝報告
「米国ケンタッキー州における繁殖牝馬および子馬の獣医療」 ○遠藤祥郎(JRA日高育成牧場) 

● シンポジウム2「感染症対策-有効な消毒法と医療施設における実践例」
座長:丹羽秀和(JRA競走馬総合研究所)
1)馬の医療関連感染症原因菌の生残性と各種消毒薬の効果 ○越智章仁(JRA競走馬総合研究所)
2)JRAにおけるClostridioides difficile 感染症の発生状況と感染防止対策 ○内田英里(JRA競走馬総合研究所)
3)社台ホースクリニックにおける感染症対策~オゾンガス・オゾン水を利用した消毒~ ○鈴木吏(社台ホースクリニック)
総合討論
●一般講演
座長:羽田哲朗(JRA日高育成牧場生産育成研究室長)
1)社台ホースクリニック馬細胞治療センターとADRCs ○加藤史樹(社台ホースクリニック)
2)馬の黄体の超音波所見から何が読み取れるか? ○七尾祐樹(NOSAIみなみ日高支所中部家畜診療センター)
3)抗ミューラー管ホルモン(AMH)値が微増した繁殖牝馬の2症例 ○大塚智啓(日高軽種馬農業協同組合)