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重賞ウイナーレポート特別編~ネオリアリズム・クイーンエリザベス2世C(G1)

  • 2017年05月09日

 「モレイラマジック」が、また海外の地で日本馬に栄冠をもたらした。

 4月30日に行われたクイーンエリザベス2世C(G1)。8頭立てで行われたレースで、唯一の日本馬となったネオリアリズムは、3コーナー手前から一気に先頭に立つと、そのまま先頭でゴール板を駆け抜ける。日本馬としては史上4頭目、そして自身初のG1制覇を、見事、香港の地で果たして見せた。

 「レースは厩舎でスタッフと一緒に見ていました。スタートが合わず、しかもペースも遅かったのでどうなるかと思っていましたが、それだけにまくり気味に先手を奪っていった時には驚きました」と話すのは、ノーザンファーム空港でネオリアリズムの育成調教に携わってきた高見優也厩舎長。

 「最後の直線は長かったですね。後ろから来た馬が、全く目に入らないほどに応援をしていました。さすがモレイラ騎手といったレースですよね」とレースを振り返る。

 ネオリアリズムのクイーンエリザベス2世C(G1)勝利は、日本競馬にとってある偉業が達成された瞬間でもあった。半兄のリアルインパクトは15年のジョージライダーS(G1)を優勝しており、日本調教馬としては初めてとなる海外G1の兄弟制覇となったのだ。しかもこの兄弟2頭の育成を手がけていたのが、ノーザンファーム空港のC-1厩舎だった。

 「管理していただいた堀調教師や厩舎の皆さんあっての快挙だと思いますが、兄弟揃って凄い馬です。育成時のネオリアリズムはリアルインパクトとは違って、距離の融通が利きそうだった一方、行きたがる面もあったので、その辺を考慮しながら調教を続けてきました」

 その調教が実を結んだのが、C-1厩舎で調整された後に初重賞制覇を果たした昨年の札幌記念(G2)だったと言えるだろう。先日、ネオリアリズムの今後のローテーションが発表されたが、春シーズンは全休し、次走には連覇を狙う札幌記念(G2)を視野に調整が行われることとなった。

 「近々、牧場に戻ってくる予定です。昨年もいい状態でレースに使えるようにと気を使ってきましたが、今回はそこにG1馬としてのプレッシャーも加わることになりました(笑)。それだけに恥ずかしくない状態でレースに臨めるように、しっかりと管理していきたいと思います」

 鞍上を務めたモレイラ騎手は、一昨年、昨年とJRA北海道シリーズの札幌開催に参戦。もし、今年も札幌開催に合わせて短期免許を取るようだと、札幌記念(G2)では世界を制したネオリアリズムとのコンビが見られるかもしれない。