馬産地ニュース

日本軽種馬協会静内種馬場で2017年(第39期)生産育成技術者研修開講式

  • 2017年04月05日
  • 静内種馬場研修所で行われた開講式
    静内種馬場研修所で行われた開講式
  • 研修生を激励する藤原俊哉日高軽種馬農業協同組合副組合長理事
    研修生を激励する藤原俊哉日高軽種馬農業協同組合副組合長理事
  • 第39期生を代表して研修生宣誓する鏡優菜さん
    第39期生を代表して研修生宣誓する鏡優菜さん

 4月5日、公益社団法人日本軽種馬協会(河野洋平会長理事)は、新ひだか町静内田原にある静内種馬場研修所において、2017年度(第39期)生産育成技術者研修開講式を行った。

 この研修は、わが国の競馬をいっそう発展させ、また、生産界の期待に応えうる生産育成技術者を養成するため、JRA日本中央競馬会の助成を受けて、平成2年秋にスタート。今年ですでに27年の歴史を有し、これまでに426名にのぼる修了生を軽種馬生産育成界に送り出している。

 第39期生は、筆記試験(作文)、面接試験、口答試問、運動適性検査といった、厳しい選考試験を潜り抜けた10名(男性・女性各5名)。北海道、栃木県、千葉県、神奈川県、東京都、京都府、大阪府、福岡県出身の18歳から26歳で、そのなかには新冠町の牧場後継者も含まれている。

 開講式には第39期生やその家族、来賓、協会職員などが出席。山口直人次長が研修生の氏名を読み上げて紹介し、中西信吾場長が入講許可した。つづいて本部の柴田晃一事務局長が「本日、入所された10名の研修生の皆様には、心からお祝い申し上げます。わが国は平成19年に、国際的に認められたパートⅠの競馬国となり、以来、名実ともに競馬先進国としての地位を築いてまいりました。そして、昨年は日本馬が、ドバイ、フランス、香港の3か国で5つの国際G1レースを優勝するという嬉しいニュースもあり、わが国の競馬産業、そして、生産界を取り巻く経済状況には、若干明るい兆しも見えてはきています。しかし、日本の競馬をいっそう魅力的なものとして、この産業をさらに盛り立てていくためには、強い競走馬を生産育成することが重要な課題となっております。そして、そのためには、何よりも生産と育成の分野における優れた技術者の養成が不可欠であります。本研修事業に対する競馬サークルの期待は大きく、歴代の修了生もその期待に応えるべく、それぞれの職場で大いに活躍されております。皆様が本日から受ける研修の内容は多岐に渡っており、騎乗技術、馬の飼養管理や繁殖に関する幅広い知識等に加え、およそ牧場で必要となる作業全般について体得していただくことになります。研修中はどうか健康に留意され、ホースマンとしての研鑚に努め、1年後には1人も欠けることなく、晴れやかな笑顔で修了式を迎えられることを切に願ってやみません。そして、皆様には、これからの生産界に、新たな活力をもたらす原動力に、ぜひなっていただきたいと思います」と河野会長理事に式辞を代読。

 来賓として出席した金崎伸幸北海道日高振興局副局長は「全国から集われた研修生の皆さん、入講おめでとうございます。先週のことですが、この日高管内の日高町から生産されたキタサンブラックが、G1レースの大阪杯(G1)で、見事優勝を飾りました。ここ最近、日高管内で生産される馬は全国の8割を占めますが、国内や海外のレースで非常に活躍しています。その活躍した強い馬には、生産や育成に携わるホースマンの存在が欠かせないものとなっています。皆さんはそのホースマンを目指してここに集いました。いまは緊張と不安とともに、期待、希望を抱いていると思います。ここは学びの場であり、そして、仲間や先生との出会いの場でもあります。共同生活のなかで、自分と周りとの考え方や感じ方は違うと、心のどこかに刻んでいただければ、楽しい毎日が送れると思います。そして、これから幾多の困難が待ち受けてると思いますが、仲間や先生方と絆を深めて乗り越えてください。来年3月には世界レベルで活躍するための知識や技術を身につけた、そして、ホースマンの顔つきになった皆様との再会を楽しみにしています。自分の夢をその手でつかみとってください」

 平賀敦日本中央競馬会日高育成牧場長は「10名の研修生の皆様は今日、競走馬の世界のスタートライン、正確に言えば、その前の前の前のスタートラインに立ちました。思っていた以上にうまくいかないことがほとんどと思いますが、ここで教えてくださるスタッフ、騎乗する馬たちは、ずっと教育に携わってきたプロフェッショナルですので、心配することなく基本的なことを勉強してください。基本的なことはとても重要なことです。教わったことを愚直なまでに実践してください。そうすればいいホースマンになります。基本をきっちり学んで、馬の取り扱いを、1年間で体の中に叩き込んでください。これからいろいろな知識を得るでしょうが、そこからまた勉強しないといけません。健闘を祈ります」

 藤原俊哉日高軽種馬農業協同組合副組合長理事は「皆さんは馬が好きでこの場にいると思います。これから1年間、共同生活をしながら大変な思いがあるでしょうが、初心を忘れず、強い意思を持って乗り越えてください。そして、お互い助け合い、励ましあい、一緒に卒業できることを祈っています。また技術だけでなく見聞を広め、軽種馬産業を担う若者として有意義な研修生活になることを祈っています」と祝辞を述べた。

 最後に第39期生を代表して鏡優菜さんが「私たち2017年度第39期生生産育成技術者研修研修生は、各自の目標に向かい、勉学、騎乗訓練に励み、人馬の安全を守り、1年間学びを深めていくことを約束いたします」とゆっくりと言葉を選びながら宣誓した。

 1年間の研修では、馬の性質と態度、馬の取り扱い、馬への接近といった基礎知識、牝馬の生殖器、発情周期、当歳馬の疾病、分娩管理などの繁殖学、部班運動、発進、停止、回転といった基本馬術、野外騎乗、走路騎乗、2ポイント姿勢・低障害飛越といった応用馬術、競走馬術、堆肥造成、厩舎清掃、牧柵点検・修理、放牧地、草地管理といった作業、手入れ管理実習、JRA育成馬展示会見学、せり馴致実習、せり見学、中央競馬見学、種馬場実習などの実習・見学、レクリエーション、研修生馬術大会、健康診断、シベチャリ駅伝参加、研修生駅伝、研修生球技大会など、密度の濃いカリキュラムが組まれている。

 研修用乗馬は2000年のマーチステークス(G3)優勝馬タマモストロング、2013年の朝日チャレンジカップ(G3)優勝馬アルキメデス、2010年のエルムステークス(G3)優勝馬クリールパッションという重賞勝ち馬を含め24頭が供用されている。