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日本軽種馬協会静内種馬場で2016年(第38期)生産育成技術者研修修了式

  • 2017年03月21日
  • 日本軽種馬協会静内種馬場で行われた修了式
    日本軽種馬協会静内種馬場で行われた修了式
  • 屋内馬場で行われた騎乗供覧
    屋内馬場で行われた騎乗供覧
  • 家族と記念撮影する第38期生
    家族と記念撮影する第38期生
  • 式辞を代読する西村啓二副会長常務理事
    式辞を代読する西村啓二副会長常務理事

 3月18日、新ひだか町静内田原にある日本軽種馬協会静内種馬場研修所講義室において、2016年(第38期)生産育成技術者研修の修了式が執り行われた。

 この研修は、わが国の競馬をいっそう発展させ、また、軽種馬生産界の期待に応えうる生産育成技術者を養成するため、平成2年に開講。その修了生は第38期生を含めて426名になる。研修修了生に対する軽種馬産業界からの評価は大変高く、就職率は100%、定着率も80%と高水準にあり、日本産馬や日本競馬のレベルアップに少なからず貢献している。

 第38期研修は昨年4月に開講。北海道、埼玉県、茨城県、千葉県、京都府、大阪府、岡山県、広島県、佐賀県出身の19歳から30歳の10名(男性7名、女性3名)が、1年間の厳しい研修を終え、晴れて巣立ちの日を迎えた。これからは日高や胆振、本州にある育成牧場や生産牧場に就職するという。

 修了式に先立って屋内馬場で行われた騎乗供覧では、本部から駆けつけた西村啓二副会長常務理事や中西信吾場長のほか、来賓や研修生の家族、就業先の牧場関係者らを前に、研修用乗馬に騎乗して研修で身につけた騎乗技術を披露。人馬一体となった手綱さばきは拍手喝采を浴びた。

 修了式は中西場長が修了証書と記念品を授与。西村副会長常務理事は「昨年は日本馬が、ドバイ、フランス、香港と3つの国と地域で5つの国際G1レースに優勝するという嬉しいニュースもあり、競馬産業、そして、生産界を取り巻く経済状況も明るい兆しが見えてきているように思われますが、まだまだ楽観視できる状況ではございません。今後いっそう競馬を盛り立てていくには、多くのファンを惹きつけるような強い競走馬を生産育成し、競馬の存在をより魅力的なものにすることがますます重要となってきています。そのためには、競走馬の生産育成分野における専門的な訓練を受けた皆様のような技術者の力が不可欠になっています。本研修が競馬サークル内で高い評価を受けられるようになったのは、なによりも皆様の先輩方の努力の賜物であることはいうまでもありません。皆様もプロとしてこの道を選択されたからには、自分を厳しく律し精進して生産育成界の担い手となることを期待しています。そして、ここで学んだ知識や技術を余すところなく実践の場で発揮するよう心から願っています。また、研修生の受け入れ先の関係者におかれましては、意欲に満ちた青年たちに対して、温かいご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます」と、河野洋平会長理事の式辞を代読した。

 来賓の金崎伸幸日高振興局副局長は「皆様と初めて会った昨年4月の開講式では、期待と緊張感、これからの生活に対して不安を抱いてるように感じうけました。しかし、先ほどの騎乗供覧を拝見したところ、自信に満ち溢れて、そして、余裕のある表情で騎乗している姿に、大きく成長したなと感じました。この研修の中で学ばれた知識、技術、そして、第38期生や先生方との出会いは、今後の人生において大切な宝物になると思います。これからは世界レベルの競走馬を生産育成する一流のホースマンとして大きく成長されることを期待しています。皆様が抱いている夢や目標をその手でかちとってください」。平賀敦JRA日本中央競馬会日高育成牧場場長は「うまくいかないことがこれからもずっと続くかもしれませんが、そのときはここで学んだ基本に返ってください。競走馬は生まれてからいろんな人の手にかかり成長しますが、ひとつのきちんとしたルールやしつけをしない馬は駄目です。皆様はいずれかのステージで馬に基本となることを愚直なまでにきちんと教えるホースマンになってください。成績の良い牧場や調教師は常に新しい知識や技術を吸収して勉強しています。皆様方も勉強をし続けてください。健闘を祈ります」。木村貢日高軽種馬農業協同組合代表理事組合長は「ここで勉強したことを基本に、これからもずっと馬の世界に身を投じてくれたら嬉しく思います」と祝辞を送った。

 第38期生を代表して狩野真之介さんは「1年前、入講した当初は、なにもかもが初の経験で、馬房に入ることさえぎこちなく、右も左もわからない状態でした。研修が進むにつれできることが増えていき、自分のなかに知識と経験が積み重なって自信となっていく反面、1年間でできることの少なさに焦りや不安を覚える日もありました。馬に触れていない時間も研修の一部でした、寮での集団生活はルールがあり、初めての寮生活は自分にとって貴重な経験で、馬に繋がっている場面が数多くあったと思います。馬はひとりではつくれないという言葉がいまは心に響きます。ここで教わったこと、学んだこと、そして、仲間と過ごした日々を忘れずに、一人前のホースマンになれるよう精進していきます。私たちの研修に携わってくれた皆様、馬たちに感謝の気持ちを伝えたいです。ほんとうにありがとうございました」と謝辞を述べた。