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モーリスの引退式が行われる

  • 2017年01月16日
  • 大勢のファンに見守られながらパドックを周回する
    大勢のファンに見守られながらパドックを周回する
  • 差し出された人参に目の色を変える食いしん坊な面も
    差し出された人参に目の色を変える食いしん坊な面も
  • 関係者との記念撮影
    関係者との記念撮影
  • ファンから顔を撫でてもらうモーリス
    ファンから顔を撫でてもらうモーリス
  • 苦楽を共にしてきた宗像厩務員も万感の思い
    苦楽を共にしてきた宗像厩務員も万感の思い

 1月15日、寒波到来中の中山競馬場で、2015年度JRA賞年度代表馬、2016年度の特別賞を受賞したモーリスの引退式が行われた。

 吉田和美オーナーから、来場したファンへ抽選で300人にメッセージカード付きぬいぐるみをプレゼント。30人にはモーリスと一緒に記念撮影ができる権利が贈られるなど、これまで応援してくれたファンへの感謝を込め、距離の近いアットホームな引退式となった。

 最終レース終了後、パドックに集まったファンは約2,000人。横断幕やモーリスグッズを手にし、思い思いにこれまでの感謝を伝え、別れを惜しんだ。

 そして、レース時と変わらない様子でパドックを周回するモーリスへ、共にG1戦線を戦ってきた三人の騎手からメッセージが送られた。

 2~3歳時、苦難を時代を支え、初G1制覇へ導いた川田将雅騎手は「2歳の時、初めて乗せていただいた時から素晴らしい背中をしていて、将来出世するんだろうと思いました。久しぶりに乗せていただいた安田記念(G1)で、返し馬で走り出した瞬間に『絶対に負けない』と感じました。それほど素晴らしい背中をしていました。その後の世界を舞台にした圧倒的なパフォーマンス。最後のレースの後、『乗るごとに進化する』と言ったR.ムーア騎手のコメントを聞き、どんな背中を、どんな走りをしたのか興味は尽きませんが、これだけの馬の背中を味わえたことが僕にとって大きな財産です」と振り返った。

 チャンピオンズマイル(G1)、札幌記念(G2)に騎乗したジョアン・モレイラ騎手は「彼はとにかく素晴らしく、素直で、レースでは常に持っている全ての力を出し切ってくれました。そして、モーリスの種牡馬としての第二の人生が成功することを願っています」と種牡馬としての成功を祈り、共に4つのG1を制したライアン・ムーア騎手からは「モーリスは、ずば抜けた馬体の持ち主でした。また非常に聡明で、いつもレースに勝ちたいという強い気持ちを持っていました。レースでは、こちらの意のままに走ってくれて、常に全力を出し切ってくれました。私は幸運にも、競走馬としての彼の卓越した能力を知る機会に恵まれましたが、彼の素晴らしい馬体や強いハート、そして聡明さから、第二の人生も必ず成功することと思います」と絶賛した。

 最後は吉田和美オーナーから「本日はお寒い中、モーリス号の引退式においでいただきまして、ありがとうございます。堀先生のご提案で、『ファンの代表の方々と写真撮影をする』という今までにない形で引退式ができました。皆様とご一緒にこの引退式という空間を共有できますこと、大変嬉しく存じます。モーリスはとてもかしこい馬で、内面も表情も本当に面白い馬でした。昨年春までは、勝つとドヤ顔で帰ってきましたが、ラストランの香港では、目を横に引いて気取ってフッと笑う馬になっていました。ムーアジョッキーに教え込まれたのでしょうか?今後、モーリスは社台スタリオンステーションで種牡馬になります。理性も知性も兼ね備えたモーリスに似た走る仔を出してくれることを心待ちにしたいと思います。モーリスは、この後すぐに北海道に旅立ちます。皆様に最後まで見送っていただき、本当に幸せな馬でございます。今までモーリスを応援くださいましたこと、深く感謝申し上げます」と謝辞を述べた。

 抽選で選ばれたファンから顔を撫でてもらったり、人参をプレゼントすると目の色を変えてかぶりつくなど、普段は見れない可愛い面も見せ、寒空の下だったが暖かい雰囲気で幕を閉じた引退式。

 自身がダービー卿チャレンジトロフィー(G3)で重賞初勝利を飾った思い出の地、モーリス伝説はじまりの場所とも言える中山競馬場でファンに別れを告げ、北海道安平町の社台スタリオンステーションへ旅立っていった。