馬産地ニュース

静内軽種馬生産振興会が講習講話会

  • 2016年12月15日
  • 静内軽種馬生産振興会が主催した講習講話会
    静内軽種馬生産振興会が主催した講習講話会
  • ground workについて説明する工藤将孝氏
    ground workについて説明する工藤将孝氏
  • 血統の重要性を語る石丸睦樹氏
    血統の重要性を語る石丸睦樹氏

 12月14日夜、静内軽種馬生産振興会(田中裕之会長)は、新ひだか町静内神森にある日高軽種馬農業協同組合静内支所2階大会議室において、講習講話会を開催した。

 講習講話会は静内軽種馬生産振興会青年部、三石・新冠町軽種馬生産振興会が協力。会場は振興会会員のほか、日高全域から牧場関係者や静内農業高等学校の生徒など100人以上が集まった。当日はJRA日高育成牧場業務課の工藤将孝氏が「馬と良好な関係の構築~ground workによる馬との調和~」について、JRA馬事部生産育成対策室上席調査役の石丸睦樹氏が「サラブレッドの血統~注目される海外の種牡馬~」について講演した。開催にあたり主催者を代表して田中振興会長は「今日はJRAから二人の講師をお招きしました。2つのテーマについて興味深い話をたくさんお聞かせくださると思いますが、最低でも二つのことを覚えていただければ幸いです」と挨拶した。

 工藤氏は1978年京都府出身。小学3年から乗馬を始め、1997年JRAに入会後、日高育成牧場、馬事公苑で演技調教を担当。2000年にはフランス、ドイツ、オーストリアなどヨーロッパで世界最高峰の演技調教技術を習得し、馬具をつけないで馬とコミュニケーションをとって演技を行う「フリーダムホースショー」の第一人者として活動している。2009年には天皇皇后両陛下の前で騎乗供覧演技を披露。開催競馬場や馬事イベントでも演技供覧を披露している。2013年から日高育成牧場にて勤務。現在はJRA育成馬の騎乗調教を行いながら演技馬の調教に取り組んでいる。

 ground workとは馬に騎乗しないで地上からの働きかける高度な技術。工藤氏は、強い馬づくりの基礎となるもの、従順な馬づくりのポイント、馬の本能・心理から考えるground work、馬が従順になるground workなどを映像を交えて説明した。

 石丸氏は1965年福岡県出身。1990年に東京農工大学農学部獣医学科を卒業後、JRAに入会。臨床獣医師として、美浦・栗東トレーニングセンター勤務を経て、1998年にイギリスのエド・ダンロップ調教師らトップトレーナーのもとで1年間研修。帰国後は日高や宮崎育成牧場でJRA育成馬の調教や育成技術向上の研究等に尽力してきた。育成牧場在任中は、種牡馬購買やJRA育成馬の購買担当として多くの名馬を発掘。生産者や育成者を対象とした講習会や研修会においても講師を何度も務め、豊富な知識や経験、技術を伝えている。本年よりJRA馬事部生産育成対策室にて勤務。引き続き強い馬づくりのための技術指導等に取り組んでいる。

 石丸氏は欧米のサイヤー・オブ・サイヤーズとされる種牡馬の産駒、人気種牡馬のトレンド、注目される若い種牡馬について紹介。来年からJBBA日本軽種馬協会が導入するクリエイターⅡやマクフィの特徴や相性の良い配合などについても言及した。

 出席者からは「ground workを始める時期やタイミングを教えてください」、「担当者が変わっても馬は指示に従いますか?」、「ヨーロッパの種牡馬の血統の今後について」などたくさんの質問が寄せられた。