馬産地ニュース

JBBAが生産者向け講演会

  • 2016年12月02日
  • JBBAが開催した生産者向け講演会
    JBBAが開催した生産者向け講演会
  • 講師を務めたノーム・デュシャルムコーネル大学教授
    講師を務めたノーム・デュシャルムコーネル大学教授
  • 会場には約150人の獣医師、牧場関係者が集まった
    会場には約150人の獣医師、牧場関係者が集まった

 12月1日夜、JBBA日本軽種馬協会は軽種馬経営高度化指導研修事業の一環として、新ひだか町静内にある静内エクリプスホテル2階エクリプスホールにおいて、牧場関係者を対象にした講演会を開催した。

 講演会は日本ウマ科学会臨床委員会が協賛し、JRA日高育成牧場、日高獣医師会、胆振獣医師会が後援。講師に米コーネル大学のノーム・デュシャルム教授を迎え、「馬の上部気道疾患-若馬に見つかる異常と競走馬としての予後-」を演題に講演が行われた。当日は悪天候にもかかわらず、日高や胆振から獣医師、生産者など約150人が出席した。

 講師のデュシャルム教授は、馬の上部気道疾患に関する診断・治療のスペシャリスト。1979年にモントリオール大学を卒業し、1982年にコーネル大学で外科専門医教育を修了。1986年までゲルフ大学、その後、コーネル大学へ移り、現在は大動物外科分野の教授のほか、ベルモントパーク近くにあるコーネル・ラフィアン・馬専門病院も管轄している。1997年から2000年、2004年から2007年まで外科専門医評議員、2006年にACVSプレジデント外科専門医会長、1997年から世界馬気道シンポジウム委員として活躍。DDSP軟口蓋背方変位の治療のためのコーネルカラー(Vet-Aire)やTie-forward surgeryの開発者として知られている。また、最近では新しい外科手術法として、馬への負担が少ない、立ったままでの喉頭形成術を紹介するなど、馬のパフォーマンス障害や呼吸循環生理に精通した大型動物の外科医としてその名を世界に轟かせている。

 講演はNOSAI日高家畜診療センター長の樋口徹博士が座長となり進行。デュシャルム教授は、すべての喉鳴りは同じ原因によるものではないとし、喉頭形成不全、口蓋裂、咽頭蓋下嚢胞、軟口蓋背側変位、喉頭片麻痺などの症例や治療法、予後の一例をスライドや動画で詳しく解説した。

 講演後は獣医師のほか生産牧場や育成牧場の従業員からも複数の質問が寄せられ、上部気道疾患に対する関心の高さをうかがわせた。