馬産地ニュース

強い馬づくりのための生産育成技術講座開催

  • 2016年11月17日
  • 今年で10回目を迎えた強い馬づくりのための生産育成技術講座2016
    今年で10回目を迎えた強い馬づくりのための生産育成技術講座2016
  • 馬鼻肺炎について講演する辻村行司さん
    馬鼻肺炎について講演する辻村行司さん
  • 質問に答える講師の安藤邦英さん
    質問に答える講師の安藤邦英さん
  • レポジトリーについて説明する佐藤文夫さん
    レポジトリーについて説明する佐藤文夫さん

 11月14、15日、JRA日高育成牧場と日高軽種馬生産振興会青年部連合会は、浦河町の浦河町総合文化会館・文化ホールと日高町の門別総合町民センター大集会室において、強い馬づくりのための生産育成技術講座2016を開催した。

 この講座は競走馬の生産育成に携わる人を対象に、情報提供・技術普及を目的としたもの。2007年から始められており今年で10回目になる。毎年さまざまなテーマを取り上げているが、本年度は近年サラブレッド生産地で大きな問題となっている馬鼻肺炎と、育成期の運動器疾患について講演した。

 主催者を代表して平賀敦JRA日高育成牧場場長は「本日の講演で、ひとつだけでも良いですので新しいことを学んで明日からの仕事に役立ててほしいと願っています。また、皆様が日頃考えていること、率直な意見、質問などをお聞かせいただき、この講習会を講師と皆様との情報交換の場になれば嬉しいです。短い時間ですが、新しい知識が得られることを祈念します」とあいさつ。高橋亮介平取町軽種馬生産振興会青年部部長は「本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。本日の講演は皆様の生産育成技術向上に大変役に立つものと思います。また、大人数で発言しにくいと思いますが、活発な質問や意見をお願いします」と呼びかけた。

 当日は羽田哲朗JRA日高育成牧場生産育成研究室室長が司会進行。講演は3題で、辻村行司JRA競走馬総合研究所分子生物研究室研究役が「馬鼻肺炎の予防対策」、安藤邦英軽種馬育成調教センター軽種馬診療所獣医師が「育成後期の運動器疾患」、佐藤文夫JRA日高育成牧場生産育成研究室研究役が「レポジトリーにおけるX線所見について」を演題に講演した。

 辻村研究役は馬鼻肺炎による流産の実態と予防対策について解説。馬鼻肺炎による流産、神経症状、呼吸器症状、感染経路、衛生管理、初期対応、消毒、流産馬の隔離法などについて、スライドや動画を使って説明した。辻村研究役は「妊娠馬へのワクチン接種について」、「鼻肺炎が増えている原因は何か?」、「馬房の消毒は効果があるのか?」、「何に気をつけて馬鼻肺炎による流産を防いだらよいか?」といった質問いついても丁寧に回答した。

 安藤獣医師は、自身が診断した育成馬の運動器疾患発生数、その中で最も認められた深管骨瘤をメインに講演。「調教方法によって発症を防げるのか?」、「それぞれの深管骨瘤の特徴は何かあるのでしょうか?」、「早期復帰できるような治療方法はありますか?」、「最新の治療方法はないですか?」、「深管骨瘤になりやすい馬はいるのか?」といった質問へは自身の見解を述べた。

 佐藤研究役は、若馬の運動器疾患、レポジトリーとは、レポジトリー所見、後膝の軟骨下骨嚢胞について言及。最後にレポジトリーの良い点、注意する点を述べ「市場の主催者、上場者、購買者が正しい知識を共有化していくことが重要」と訴えた。