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道営記念は牝馬タイムビヨンドが差し切り勝ち

  • 2016年11月14日
  • マイナス気温の中でも競馬場内は熱気に包まれた
    マイナス気温の中でも競馬場内は熱気に包まれた
  • 先に抜け出したオヤコダカに襲いかかるタイムビヨンド
    先に抜け出したオヤコダカに襲いかかるタイムビヨンド
  • 牝馬のタイムビヨンドが59頭目の道営記念馬に輝いた
    牝馬のタイムビヨンドが59頭目の道営記念馬に輝いた
  • 笑顔が弾ける口取り写真
    笑顔が弾ける口取り写真
  • 道営記念らしい華やかな表彰式となった
    道営記念らしい華やかな表彰式となった

 今季のホッカイドウ競馬を締めくくる大一番、第59回道営記念(H1)【スクリーンヒーロー賞】が11月10日、距離ダート2000mで行われた。

 今年の出走馬は3歳から10歳までの16頭。人気を背負うであろう昨年の覇者、グランプリブラッドが出走を取り消し、15頭で争われることになったのが残念だった。1.9倍の1番人気は、やはり今年の古馬路線を引っ張ってきたオヤコダカ。赤レンガ記念(H3)から重賞4連勝中であり、昨年の同レース7着だった雪辱を果たすため万全の態勢で挑む。2.9倍の2番人気は3歳馬の雄、スティールキング。前走瑞穂賞(H2)で初めて古馬重賞に挑戦、勝ったオヤコダカに3/4馬身敗れはしたものの、更なる成長が見込まれた。6.8倍の3番人気はノースクイーンC(H2)を勝利し、最近の勝ち鞍は全て1700m以上という長距離巧者の牝馬、タイムビヨンドが人気を集めた。コスモバルク記念(H3)勝ち馬のウルトラカイザーは4番人気、ヒダカソウC(H3)、岩手のビューチフル・ドリーマーCを制したジュエルクイーンが5番人気と、いずれも今年のホッカイドウ競馬を代表する好メンバーが揃った。

 レースは、毎年恒例となった静内高校吹奏楽部によるファンファーレでスタート。最初に飛び出したのはダイワエクシード。ロイヤルクレストが続き、オヤコダカはその後ろ。直後にジュエルクイーン、ウルトラカイザー、ヘブンズゲート、タイムビヨンド、スティールキングの有力馬たちが団子状態になった。3コーナーの“いつもの場所”に差し掛かると、自然と進出を開始するオヤコダカ、それを待っていたかのように後続が一気にゴーサインを出した。楽な手応えで直線先頭に立ったオヤコダカの独走かと思われたが、外からタイムビヨンドとジュエルクイーンの牝馬2頭が迫ってくる。残り200mでタイムビヨンドがオヤコダカに並び、4歳馬同士のマッチレースとなった。結果、タイムビヨンドがオヤコダカに1/2馬身先着し、優勝。2011年のショウリダバンザイ以来、5年振りとなる牝馬の道営記念馬が誕生した。2着はオヤコダカ、3/4馬身差の3着はジュエルクイーンと、生え抜き4歳馬たちのワン・ツー・スリーだった。

 晴れやかな笑顔で検量室前に戻ってきた五十嵐冬樹騎手は、調教師スタンドにいる堂山芳則調教師に向けガッツポーズ。「強い馬もいましたが、この馬自身2000mは向くと思っていたので一発狙って乗りました。最後の直線は、外からも馬が来ていたのでなんとか凌いで、早くゴールが来て欲しいという気持ちでしたね。ここまでの馬づくりをしてくれた厩舎スタッフ、そして頑張ってくれた馬に感謝したいです」と関係者を労った。

 管理する堂山芳則調教師は2010年のオネストジョン以来6度目の勝利となり、道営記念最多勝記録を更新した。

 「2000mなら脈はあるんじゃないかなと期待はしていましたが、牡馬相手だとどうかなという気持ちもありましたね。ゲートが開けば騎手の領域なので五十嵐騎手を全面的に信頼して、この馬らしい勝負強さと男勝りの走りで良く頑張ってくれました」と喜びを語った。

 タイムビヨンドは父タイムパラドックス、母ブルーダイナ、母の父カコイーシーズという血統の4歳牝馬。生産はコンサートボーイやピエールタイガーの生産牧場で知られる日高町の船越牧場で、タイムビヨンドはコンサートボーイの姪に当たる。

 タイムビヨンドは次走、船橋のクイーン賞(Jpn3)を予定しており、ホッカイドウ競馬が閉幕しても、所属馬たちの熱い戦いはまだまだ続いていく。