リリーCはハタノオヌールがアタマ差で優勝
9月1日、門別競馬場では2歳牝馬による重賞、HTB杯第13回リリーカップ(H3)【トーセンホマレボシ賞】がダート1200mで争われた。
10月13日に施行される交流重賞、エーデルワイス賞(Jpn3)に向けての前哨戦。優先出走権を得るため、10頭の2歳牝馬たちがエントリーした。1番人気は、昨年ホッカイドウ競馬を席巻した「タイニーダンサーの再来」と呼び声高いピンクドッグウッド。前走フルールC(H3)を快勝し、同じサウスヴィグラス産駒ということもあって人気を集めた。2番人気はこちらもサウスヴィグラス産駒のアップトゥユー。栄冠賞5着、フルールC4着と調子を上げてきた。3番人気は新種牡馬・ディープブリランテ産駒のオーブスプリング。ここが重賞初挑戦となるが、未知の魅力が評価された。
度重なる台風や濃霧など、天候が安定しない中、この日も濃い霧が立ち込めていた門別競馬場。メインレースの頃には見通しが利く程度に霧も晴れ、曇・稍重の馬場状態でレースはスタートした。
揃って飛び出し、アップトゥユー、オーブスプリング、ハタノフォルトゥナがハナを争い、直後にルックフォワード、シェアハッピーらが先団を伺いながらレースを進めた。4コーナーを回って最内アップトゥユーが逃げ込みを図り、外からシェアハッピー、内からハタノオヌールがこれを追いかける展開に。残り100mで粘るアップトゥユーを交わすとシェアハッピーとハタノオヌールが並んでゴールに飛び込んだ。末脚勝った6番人気のハタノオヌールにアタマ差軍配が上がり、重賞初勝利。勝ち時計は1:13:9(曇・稍重)、2頭から2馬身離された3着には最後まで自分のレースを貫いたアップトゥユーが入り、1番人気のピンクドッグウッドは4着という結果だった。
ハタノオヌールを勝利に導いた井上幹太騎手は、ブリーダーズゴールドジュニアカップ(H1)をストーンリバーで制して今季重賞2勝目。ハタノオヌールの手綱もデビューからずっと握ってきた。表彰式でのインタビューでは「前走(フルールC・3着)の時は馬がかかって行ってしまったので、今回は折り合いに注意して中団に付けました。前は流れていたし、いつでもスパートできる状態で我慢させ、シェアハッピーに反応して動きました。この馬で重賞を勝ちたかったので、実現できて嬉しい。これからも1頭1頭大事に乗っていきたいです」と喜びを爆発させた。
管理する安田武広調教師もグランシャリオ門別スプリント(H3)をケイアイユニコーンで制しており、今季重賞2勝目。「前走はスタートが良すぎて行かざるを得なくなったので、今回は控えて行こうというのがジョッキーとの総意でした。重賞級の器だと前々から思っていましたし、全てが噛み合ってこの結果が得られたという感じですね。次走は園田のプリンセスCに登録予定でしたが、エーデルワイス賞(Jpn3)の出走権利が取れたので、レース間隔が厳しくなりますから、オーナーと相談して決めたいと思います」と嬉しい悲鳴を上げている。
ハタノオヌールは父サウスヴィグラス、母ハタノガイア、母の父ブライアンズタイムという血統の2歳牝馬。日高町門別に位置するグッドラック・ファームのオーナーブリーディングホースで、これまで川崎記念(Jpn1)などJpn1 2勝馬のハタノヴァンクール、デイリー杯2歳S(G2)優勝馬テイエムイナズマなどを生産している。