馬産地ニュース

ビッグレッドファームで種牡馬展示会

  • 2016年02月22日
  • 約600名が展示会に来場
    約600名が展示会に来場
  • 大きな注目を集めた新種牡馬ゴールドシップ
    大きな注目を集めた新種牡馬ゴールドシップ
  • 新入厩馬ジョーカプチーノ
    新入厩馬ジョーカプチーノ
  • 今年、初年度産駒がデビューするアイルハヴアナザー
    今年、初年度産駒がデビューするアイルハヴアナザー
  • フェブラリーS(G1)で産駒2頭出しのアグネスデジタル
    フェブラリーS(G1)で産駒2頭出しのアグネスデジタル

 2月16日、新冠町のビッグレッドファームで種牡馬展示会が行われた。

 当日は穏やかな天気に恵まれ、日高管内の生産者を中心に約600名が来場。注目は有馬記念(G1)、菊花賞(G1)などG1・6勝を引っさげて種牡馬入りしたゴールドシップで、今年の新種牡馬の目玉として、大勢のテレビ局や雑誌社のカメラが待ち構えた。受付ではゴールドシップが表紙となった2016年種牡馬カタログが配られたほか、あらかじめ記念品交換券が送られている牧場関係者には記念品が手渡され、記念品の一つであるゴールドシップ・キャップを嬉しそうに被る来場者の姿も目立った。

 展示は午前10時30分から始まり、同牧場の蛯名聡マネージャーの進行のもと、7頭がお披露目となった。序盤を彩ったのはすっかりおなじみの繋養種牡馬たちで、すでに中央や地方で重賞馬を送り出しているアドマイヤマックス、タイムパラドックス、ロージズインメイが登場。中でもタイムパラドックスは昨年、産駒オウマタイムが南関東クラシック・京浜盃をぶっちぎりで勝利し、ダートで世代No.1を狙える種牡馬として評価を上げている。一方で種付けの特徴から受胎率を不安視する声ついては、蛯名マネージャーより、「昨年の受胎率は84%を超えており、平均種付け回数も1.6回です」と、問題がないことを示す最新データが伝えられた。

 同じく栗毛のアグネスデジタルは先日の東海S(G2)で産駒アスカノロマン、モンドクラッセがワン・ツーフィニッシュを決め、2頭とも大一番・フェブラリーS(G1)へ駒を進める。来年20歳の大台に乗るが、年齢ほど老いを感じさせない好馬体を映し出した。アイルハヴアナザーは3年連続120頭以上の交配を記録し、今年初年度産駒がデビュー。同牧場で育成している2歳馬の中では、すでに古馬と互角以上の動きを見せる馬が現れ、展示会終了後には、同牧場・坂路コースで産駒3頭が公開調教し、実際に古馬を突き放した。

 後半には芦毛2頭がまばゆい白さを見せながら登場。新入厩ジョーカプチーノは、アイルハヴアナザーと同じく今年初年度産駒がデビューで、ここ3年の交配頭数は下降していたが、同牧場で育成している産駒が素晴らしい動きを見せていることから、この度の転機となった。急死したマンハッタンカフェの無念も含めて今後に期待がかかる。

 満を持して最後に登場したのがゴールドシップ。引退後、同牧場に到着してから1か月半ほどながら、すっかり環境に慣れた様子で、余裕を持って闊歩していた。ギャラリーの視線を一身に浴び、四方から圧を感じるような雰囲気にあっても、グランプリホースの貫録を見せるように悠然としていた。

 現地には現役時代のオーナー・小林英一氏の息子・小林正和氏と、管理していた須貝尚介調教師、生産した出口牧場の出口俊一氏が駆けつけ、門出を見守っていた。展示にあたってマイクを握った須貝調教師は、ゴールドシップを“無事是名馬”と紹介し、「とにかく個性豊かで、競馬に出た時でも調教の時でも、この子が歩くだけで他の馬たちが萎縮するような場面を何度も見ました」と、現役時代のエピソードを明かした。また、ゴールドシップらしい自己表現をする子が生まれることを想定し、調教師の視点からアドバイスを送っていた。小林氏は、「オルフェーヴル、ゴールドシップと歴史に名を残す名馬を送り出すステイゴールドと、その名種牡馬とまるで入れ変わるように、ゴールドシップが皆さんのもとへやってまいりました。私にはそれは単なる偶然ではなく、ゴールドシップはステイゴールドの意志を受け継ぐために生まれてきたのではないかと、このようにさえ思っております。ゴールドシップは私たち家族に半ば忘れかけていた夢を与え、この4年半の間にG1・6勝を含む重賞11勝という大変素晴らしい夢を、喜びを私たち家族、出口牧場さん、須貝厩舎の皆さんに与えてくれました。今度は今日お集まりの皆さまの中から、この喜びを、それ以上の喜びを手にされる方が誕生される番ではないでしょうか。私たちの得た幸せの連鎖が、ゴールドシップの産駒を通じて、皆さんに大きく散らばっていくことを夢見ております。どうぞゴールドシップを宜しくお願い申し上げます」と、力強くPRしていた。