馬産地ニュース

アロースタッド種牡馬展示会が開催

  • 2016年02月16日
  • ハタノヴァンクールはキングカメハメハ産駒を代表するダートホースの1頭
    ハタノヴァンクールはキングカメハメハ産駒を代表するダートホースの1頭
  • 10歳まで現役を続けたワンダーアキュート
    10歳まで現役を続けたワンダーアキュート
  • ディープインパクト産駒の良血馬ワールドエース
    ディープインパクト産駒の良血馬ワールドエース
  • 芝の中短距離重賞で4勝をあげたガルボ
    芝の中短距離重賞で4勝をあげたガルボ
  • 個性派トウケイヘイローもスタッドイン
    個性派トウケイヘイローもスタッドイン

 2月15日に新ひだか町内の3つのスタリオンで順次開催された種牡馬展示会。アロースタッドはこの日、2会場目の開催となる。他場の展示会に挟まれながらも、敷地内の駐車場が一杯になるほどに生産関係者を引きつけるのは、展示会終了後に行われる種付権利や手綱といった抽選会。何よりも繋養されている種牡馬の多彩なラインナップと言えよう。

 今年の展示会でアロースタッドでは30頭の種牡馬展示を行ったが、そのうちの5頭が今シーズンから繋養された新種牡馬。その中でも現役時の実績で目を引くのは、ダートG1を勝利した2頭、ハタノヴァンクールとワンダーアキュートだろう。

 ハタノヴァンクールは3歳時にジャパンダートダービー(Jpn1)を、そして4歳時には川崎記念(Jpn1)を制覇。この時、半馬身差で2着となったのがワンダーアキュートである。怪我もあって4歳での引退を余儀なくされたが、万全かつ順調な成長を遂げていれば、同世代のホッコータルマエの好敵手ともなっていたに違いない。種付料は20万円という非常にリーズナブルな設定がされており、産地から重宝される種牡馬となりそうだ。

 同じく砂の雄として名を馳せたワンダーアキュートは、9歳まで現役を続け、その年にはG1での最高齢優勝記録をかしわ記念(Jpn1)で打ち立てた。展示の際には現役時に管理をしていた佐藤正雄調教師がマイクを持ち、「血統背景的にも、生産界に数が増えているサンデーサイレンスの血を引く牝馬との配合もしやすいと思いますし、長く生産者の方に可愛がっていただけるような種牡馬になってもらえればと思います」と話していた。ちなみにアメリカの年度代表馬に輝き、現在はJBBA静内種馬場で繋養される父カリズマティックにとっては、日本初の後継種牡馬ともなる。種付料は50万円を設定されており、また、配合を行った生産者には、この日、スタッフも着用していた「ワンダーアキュートジャンパー」が進呈されることも発表されていた。

 ディープインパクト産駒の良血種牡馬がワールドエース。現役時には17戦4勝、うち重賞はきさらぎ賞(G3)とマイラーズ C(G2)の2勝ながらも、皐月賞(G1)で見せた豪脚と言える末脚、そしてマイラーズC(G2)で樹立したコースレコードと、記憶にも記録にも残る走りを見せた。近親のマンデュロは近年のドイツ生産界における最強馬でもあり、種牡馬入り後も次々と活躍馬を送り出している。日本生産界注目のドイツ血統を手に入れられる種牡馬としても注目を集めるに違いない。種付料は50万円となっている。

 ガルボは現役時に重賞で4勝をあげているが、3歳時に1勝、5歳時に2勝、7歳時に1勝と、年齢を重ねても活力に衰えは見られなかった。近親には京都新聞杯(G2)でその年の三冠馬ナリタブライアンを下したスターマンの名前もある。その血統が受け継がれた現役時の父もまた名だたるG1馬を破ってきたように、産駒たちにもまた大物食いの期待がかかる。

 トウケイヘイローは4歳時に芝の中距離重賞を4勝、年末には香港C(G1)で2着ともなった。その年の充実ぶりには目を見張るものがあり、天皇賞(秋)(G1)でも2番人気の評価が与えられている。武器となるのはその重賞競走でも見せた軽快な逃げ脚でもあるが、超の付く不良馬場で行われた札幌記念(G2)も勝利。しかも父ゴールドヘイローの産駒成績からしても、充実期にレースが出来ていれば、ダートでも好成績を残せた可能性もある。その事実を数年後に証明してくれるのが産駒たちとなりそうだ。

 今年の展示会には今シーズンから繋養地を移し、今年、初年度産駒を送り出すアーネストリーや、同じく初年度産駒が2歳を迎えたトランセンドも、元気な姿を見せていた中で、30頭の展示種牡馬の中でも一際、存在感を放っていたのが昨年のNARチャンピオンサイアーであるサウスヴィグラス。昨年はコーリンベリーが産駒2頭目となるG1制覇を果たし、2歳戦でもタイニーダンサーがホッカイドウ競馬の2歳交流重賞で活躍を見せるなど、世代を問わずに活躍馬が誕生した。

 ぜひとも牡馬からもG1級の活躍馬を送り出し、そして種牡馬となった暁には、父との親子繋養をこの展示会で見てみたい。