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北海優駿はフジノサムライが初重賞勝ち

  • 2015年06月03日
  • 7頭を引き連れてゴールを目指すフジノサムライ
    7頭を引き連れてゴールを目指すフジノサムライ
  • 重賞初勝利が北海優駿となった
    重賞初勝利が北海優駿となった
  • 誇らしげな表情
    誇らしげな表情
  • 大舞台を制して喜びの口取り
    大舞台を制して喜びの口取り
  • 表彰を受ける関係者の皆さん
    表彰を受ける関係者の皆さん

   Derby Week(ダービーウイーク)2015第3弾、STV杯第43回北海優駿(H1)【エイシンフラッシュ賞】が6月2日、門別競馬場ダ2000mで行われた。

   今年は9頭の3歳馬が世代頂点を目指しエントリー。断然の1番人気に推されたのは北斗杯(H3)を7馬身差の圧勝、前走は古馬相手に6馬身差を付けたオヤコダカ(牡3歳)。前日行われた岩手ダービーダイヤモンドC優勝馬、ロールボヌール同様、どれほど後続を引き離して勝つかに注目が集まり、単勝オッズは1.1倍。単勝オッズ7.9倍の2番人気はJRAから移籍してきたアルランピード(牡3歳)移籍緒戦を古馬相手に逃げ切り勝ちし、持ち前のスピードを生かせればオヤコダカに肉薄できる可能性を秘めていた。9.5倍の3番人気は2014年度グランダム・ジャパン2歳シーズン女王のジュエルクイーン(牝3歳)が続いた。

   ホームストレッチ奥の引込み線からレースはスタート、と同時に場内には大きなどよめきが。1番人気のオヤコダカがスタート直後に落馬、競走中止という大波乱。目標とするべき逃げ馬がいなくなり動揺が広がる中、5番人気のフジノサムライが冷静に先頭に立ち、アナモルフォーシスが2番手。外枠の2頭がレースを引っ張る縦長の展開になった。

   3コーナーを回る辺りで馬群は詰まり、4コーナーでは団子状態、牝馬のタイムビヨンドが内から先頭を窺うがそれでも譲らないフジノサムライが最後のひと伸びで3/4馬身の差を付け第43代目の北海優駿馬に輝いた。2着に4番人気のタイムビヨンド、さらに1.1/2馬身差の3着に3番人気ジュエルクイーンが入り、牝馬が2、3着を占めた。勝ちタイムは2分11秒9(良)。

   デビュー3年目、20歳でダービージョッキーの栄誉を掴んだ石川倭騎手は、これまで重賞勝利はあるものの、自厩舎の馬での重賞勝利は初。フジノサムライにはデビュー時からずっと手綱を取り「この馬で重賞を勝ちたい」と話していただけに念願の勝利となった。

   「強い馬が1頭いるので、ペースに惑わされず自分の競馬に徹しようと思っていました。(オヤコダカの落馬は)2コーナー辺りで気づきましたが、馬も息が入り落ち着いてラップを刻めていたのでそれほど気になりませんでした。普段前にいる馬を追いかけていくタイプではないんですが、カラ馬が直線加速した時、追いかけていく素振りを見せたので突き抜けることができたかなと思います。まだ実感は沸きませんが、勝てて嬉しいですね」と石川倭騎手。

   米川昇調教師は「2歳シーズンは目に見えない疲れが蓄積していてなかなか成績があがりませんでした。今年は体調も回復して馬に成長が見られ、これなら勝負になるかなと期待はしていましたよ。嬉しいけど、何とも言えない勝利になってしまったので、1つ1つ勝利を重ねて頑張っていきたいですね」と控えめなコメントを残した。

   フジノサムライは父スクリーンヒーロー、母カシノヴィガ、母の父デヒアという血統の牡馬。昨年6月のフレッシュチャレンジ競走でデビューし3着、折り返しのアタックチャレンジ競走で逃げ切り勝ちを収めると8月のウィナーズチャレンジ競走で2勝目を上げた。ホッカイドウ競馬がシーズンオフになる11月には水沢競馬場で行われた南部駒賞へ遠征し3着。今シーズン緒戦となった北斗盃(H3)では先手を奪えず8着に敗れたが、北海優駿トライアル・ローズキングダム賞 (OP)は好位追走からアタマ差で差し切り勝利。4勝目で北海優駿制覇となった。

   生産者は新冠の柏木一則牧場、オーナーは“フジノ”の冠でホッカイドウ競馬でも競走馬を所有している藤沢和徳氏。父スクリーンヒーローは昨年の岩手ダービーダイヤモンドCを制したライズラインに続き2世代連続、2頭目の地方ダービー馬を送り出した。