馬産地ニュース

生産地フットケアセミナーが開かれる

  • 2014年12月08日
  • 約120名の獣医師・装蹄師が出席した生産地フットケアセミナー
    約120名の獣医師・装蹄師が出席した生産地フットケアセミナー
  • 蹄病学の世界的権威として知られる講師のスコット・モリソン氏
    蹄病学の世界的権威として知られる講師のスコット・モリソン氏
  • 時間が足りなくなるほど質疑応答が繰り返された
    時間が足りなくなるほど質疑応答が繰り返された

 12月4日、新ひだか町静内の静内エクリプスホテルにおいて、米ケンタッキー州ルード・アンド・リドル馬専門病院蹄病センター代表のスコット・モリソン氏を講師に迎え、生産地フットケアセミナーが開かれた。

 このセミナーは、日本ウマ科学会、日本軽種馬協会、北海道日高装蹄師会の共催で、日高獣医師会、胆振獣医師会が後援。当日は日高・胆振で蹄の管理に奔走する、約120名の獣医師や装蹄師が出席した。

 講師のモリソン氏は、蹄病を専門とする装蹄師であり獣医師でもある、この分野の世界的権威。ケンタッキー州という土地柄、サラブレッドの診療のほか、乗用馬や大型の馬車馬、ポニーなど、あらゆる品種のウマを診療し、その豊富な症例数と柔軟な発想から、様々なタイプの蹄鉄の開発や新たな治療法の発見などをしている。2006年には数々の功績が認められ、国際ウマ専門獣医師の殿堂入りをした。現在は蹄病センター代表という忙しい立場ながら、アメリカ国内のほか、ドイツ、フランス、オーストリア、イギリス、メキシコ、ブラジル、カナダ、ニュージーランドと、世界を股にかけて蹄病学についての講義や技術指導を行っている。

 「肢蹄管理に関するケンタッキーの最新事情」をテーマに講演したモリソン氏は、スライドと動画を交えて、蹄病学をいかにして診療に効果的に活かすかをレクチャー。自身がこれまで治療に携わったなかから、出席者が興味を持ちそうな症例、治療法、術後の経過、注意点などを詳細に説明した。

 講演後は蹄病学の第一人者から直接教えを請おうと、絶え間なく質疑応答が繰り返された。

 午後からは会場を日本軽種馬協会静内種馬場軽種馬生産技術総合研修センターに移し、装蹄師を対象にしたウェットラボを開催。スーツから作業服に着替えたモリソン氏が、慣れた手つきで裂蹄や蹄葉炎、クラブフットの装蹄療法を実演した。

 主催者の一人として立ち会っていた同総合研修センターの中西信吾センター長は、「今回はより専門的な講演だったため、対象を獣医師と装蹄師の方だけに限定したのですが、こちらの予想をはるかに上回る獣医師・装蹄師に集まっていただきました。JBBAが長年取り組んできた、獣医師と装蹄師のコラボレーションが浸透してきたのだと思います。午前の一般講演では出席者からの質問で時間が足りなくなるほど、午後のウェットラボも、出席者の希望で開始時刻を予定より早めて少しでも時間を多く取りました。皆、新たな技術や知識を知りたいという欲求が高まっているのではないでしょうか。これから生産地の蹄に関する認識は格段に上がると思いますので、どのような成果が出るか楽しみです」とセミナーを振り返っていた。