馬産地ニュース

三石で「サラブレッドの血統について」の講習会が開かれる

  • 2014年11月25日
  • 講師を務めたJRA日本中央競馬会日高育成牧場の石丸睦樹副場長
    講師を務めたJRA日本中央競馬会日高育成牧場の石丸睦樹副場長
  • 主催者を代表して挨拶する三石軽種馬生産振興会の斉藤雅宣会長
    主催者を代表して挨拶する三石軽種馬生産振興会の斉藤雅宣会長
  • 100名以上の牧場関係者で満席となった講習会
    100名以上の牧場関係者で満席となった講習会

 11月21日夜、新ひだか町三石本桐の本桐基幹集落センターにおいて、「サラブレッドの血統について」の講習会が開かれた。

 この講習会は三石軽種馬生産振興会(斉藤雅宣会長)の主催。講師はJRA日本中央競馬会日高育成牧場の石丸睦樹副場長が務めた。

 季節柄、来年の配合について考える時期ということもあり、講習会には同振興会会員はもちろんのこと、様似・浦河・静内・新冠・日高・平取と日高全域から100名を超える牧場関係者が出席。会場を埋め尽くした出席者を前に、主催者を代表して斉藤会長は「本日はお忙しい中、たくさんの方にご出席いただき感謝申し上げます。講師の石丸先生におかれましては、ご多忙のところ講習会の講師を引き受けてくださり心からお礼申し上げます。今日の講習会では強い馬づくりには欠かせない血統についてお話していただきます。どのような血統が日本で強いのか、世界の競馬ではどういった種牡馬が成績を出しているのかなどを勉強したいと思います。講習会が皆様の強い馬づくりに少しでもお役に立てれば幸いです」と挨拶した。

 講師の石丸さんは福岡県出身。1990年3月に東京農工大学農学部獣医学科を卒業し同年4月にJRAに入会した。入会後は美浦・栗東トレーニングセンター、宮崎・日高育成牧場を経て、2002年にイギリスへ渡り、エド・ダンロップ厩舎での1年間の研修を経験している。帰国後は馬事部生産育成対策室を経て、日高育成牧場に復帰。今年から日高育成牧場の副場長として、JRA育成馬の購買や育成に従事している。幅広い知識と経験を持つ石丸さんに対する生産者の信頼は厚く、講演会の講師として招聘される機会は多い。

 1時間以上に渡る講演で石丸さんは、サラブレッドの歴史、血の改良の変遷、スピードに関するミオスタチン遺伝子、体高に関連するLCORL遺伝子を紹介。続いて、大レースで活躍した競走馬の配合を示し、インブリーディング、ラインブリーディングの実例を解説した。

 後半は日本、オーストラリア、イギリス・アイルランド、北米のリーディングサイアーランキングを比較して、それぞれの地域で活躍するサイアーラインを説明した。

 最後に石丸さんは配合について、理論のみならず、競走パフォーマンスをもとに馬体コンフォメーションなどの不良形質が遺伝しないようにする必要があるとし、今後は遺伝子の解明や科学的アプローチが課題となることを伝えた。

 出席者からは「日高のせりで海外の購買者がほしがるような配合をするにはどうすれば良いか」、「サンデーサイレンス系の繁殖牝馬が増えているなかで、どのような配合をすれば良いか」、「日本軽種馬協会が導入したケープブランコと相性の良い配合は?」といった質問が寄せられ、生産者の配合への関心の高さが垣間見えた。