馬産地ニュース

ホッカイドウ競馬のクライマックス・道営記念はウルトラカイザー

  • 2014年11月19日
  • 4角先頭から長い直線を踏ん張ってのゴール
    4角先頭から長い直線を踏ん張ってのゴール
  • 1周目、大声援が飛ぶスタンド前
    1周目、大声援が飛ぶスタンド前
  • 馬体重496kgで出走した
    馬体重496kgで出走した
  • 喜びの口取り
    喜びの口取り
  • ポラリス☆ドームにて表彰式、優勝馬関係者の皆さん
    ポラリス☆ドームにて表彰式、優勝馬関係者の皆さん

 門別競馬場では11月13日、今年度ホッカイドウ競馬開催の最後を締めくくる重賞・第57回道営記念(H1)[エンパイアメーカー賞]が行われた。距離はダート2000m。

 ファン投票上位馬をはじめ出走はフルゲート16頭。1番人気は前哨戦・瑞穂賞(H2)を快勝し、目下4連勝中のウルトラカイザーで、門別中距離戦では負けなしの実績を誇る。ホッカイドウ競馬ゆかりの血統クラグオーが、ステイヤーズC(H1)制覇を引っさげて2番人気。故障による長いブランクを経て復帰したシルクメビウスが3番人気に推されて出走した。ファン投票上位組では、1位のコスモスイングが昨年デビューの井上幹太騎手を背に11番人気、同2位のキタノイットウセイは好調・吉原寛人騎手を配して4番人気の支持を受けた。

 この日のレースは「2014長崎がんばらんば国体」馬術競技に出場した新冠町の楫川徳都さん、小山達平さん、山畠龍一郎さんが一部レースの誘導馬騎乗を務め、道営記念(H1)では小山達平さんが立派に大役を果たした。また、ポラリス☆ドームでは北海道静内高等学校・吹奏楽部がレース前に演奏を行った。開門から発走時刻に至るまで一時大荒れの天気に見舞われたが、ファンの願いが通じたかのように何とか持ちこたえ、無事にファンファーレが鳴った。

 最初のホームストレッチはニシノファイターが逃げ、シルクメビウスが2番手を追走し、ウルトラカイザーは先行集団の一角、キタノイットウセイ、クラグオーは馬群の真ん中あたりからレースを進める。強い風を受けながら隊列は長くなり、向正面ではそのままニシノファイターが主導権を握り、シルクメビウス、ウルトラカイザーと人気どころは変わらず前々の位置取り。それらを見るようにキタノイットウセイ、コスモスイングらが追いかけて3、4コーナーをまわる。大声援の待つスタンドに向かっての直線勝負は、抜群の手応えから追い出したウルトラカイザーが先に抜け出して一歩リード。すかさず伸び脚を発揮したのがコスモスイング、キタノイットウセイで、レースを引っ張ったニシノファイター、シルクメビウスは脚色が鈍る。残り100mを切ってからはウルトラカイザーを目がけてコスモスイング、キタノイットウセイがグイグイ迫り、単勝1番人気馬とファン投票上位2頭による叩き合い。ラスト重賞にふさわしい激闘の末、辛くもウルトラカイザーが半馬身凌ぎ切り、5連勝のゴールを決めた。2、3着はハナ差の接戦となり、キタノイットウセイが2着、人気薄コスモスイングが3着で波乱を演出した。勝ち時計は2分4秒9(重馬場)。

 優勝した井上俊彦騎手は1987年(札幌開催)のベストボーイ以来となる同レース制覇となった。ポラリス☆ドームで行われた表彰式のインタビューでは、「久しぶりに道営記念を勝つことができて嬉しかったです。最後の直線では後ろからも迫っていたので、必死に追いました。今年は沢山重賞も勝つことができ、1,700勝も達成することができました。来年からもケガに気を付けて頑張っていきたいです。」と、安堵の表情を見せた。管理する林和弘厩舎は1999年のスズオールマイティ、2005年のバンブーボカ、2011年のショウリダバンザイに続く4度目の同レースVを成し遂げた。

 ウルトラカイザーは父レギュラーメンバー、母ローレルワルツ、母の父ダイナレターという血統で、半兄にアルゼンチン共和国杯(G2)、七夕賞(G3)を制したアスカクリチャンがいる。生産は新冠のつつみ牧場で、馬主は中野真吾さん。生産牧場の堤俊昭さんは、「1番人気に推されてのレースだったので、レース前は緊張しました。門別競馬場の直線は長いですが、今回は一層長く感じましたね。井上騎手の好騎乗でした。馬産地にとっては本当に大きなレースなので、今回の勝利は格別です。故障で一年以上のブランクがありましたが、林厩舎の努力が実ったと思います。牧場としては祖母スワンスキーから携わって思い入れのある血統ですし、引退した半兄アスカクリチャンの分まで頑張って欲しいと思います。またホッカイドウ競馬を盛り上げる走りを見せて欲しいですね。」と、喜びを語っていた。

 現在、同牧場にはウルトラカイザーの半姉カナザワノハナが繁殖生活を送っており、今年生まれた当歳は牝馬(父スターリングローズ)で、来年のセール上場を予定している。カナザワノハナは現在、スターリングローズの仔を受胎している。