今年度の開催も残り約1か月となった門別競馬場では10月9日、大阪スポーツ杯第14回サンライズカップ(H3)[シンボリクリスエス賞]が行われた。距離はダート1700m。

　11月6日に行われる交流重賞・北海道2歳優駿(Jpn3)の前哨戦で、牡牝合わせて12頭が参戦した。1番人気は前走、ブリーダーズゴールドジュニアカップ(H1)を制したオヤコダカで、その実力を評価されて単勝1.4倍の支持を受けた。離れた2番人気に推されたタケルオウジは、今夏JRAに遠征して苦杯をなめたが、門別戦では負けなし。先行力を武器に毎回堅実なフジノサムライが3番人気、好調・宮崎光行騎手がコンビを組むクラバズーカーが4番人気に推された。

　レースはフジノサムライ、クラヴィクトリーがダッシュつかず、グローリーキングがハナを切る展開。オヤコダカは2番手を追走し、好位グループにクラバズーカー、タケルオウジは馬群の真ん中からレースを進める。向正面は縦長の隊列となり、勝負所に入るとオヤコダカが先頭に立って、ヘブンズゲート、タケルオウジが並びにかかる。ポッカリ空いた内をついてクラバズーカーが差を詰め、残り400mでは4、5頭が先団を形成して直線へ。最後の叩き合いはクラバズーカー、タケルオウジが鋭く抜け出し、断然人気のオヤコダカはやや脚色が鈍る。かわって後ろで控えていた人気薄ハニームーンがじわじわと伸び、優勝争いは3頭に絞られたが、井上俊彦騎手の叱咤激励に応えてタケルオウジがリードを奪い、先頭でゴールを切った。2着はハニームーンが入って波乱を演出し、クラバズーカーが3着に粘った。勝ち時計は1分51秒5(良馬場)。オヤコダカは+20kgの馬体増が影響したのか、11着に敗れた。

　近年、若手騎手の台頭が目立つホッカイドウ競馬だが、キャリア豊富な騎手たちも意地を見せている。ベテランの腕を発揮した井上騎手は表彰式のインタビューに答え、「道中は砂をかけると折り合いがつくので、意識して進めました。最後の直線では手応えがあったので勝てると思いました。かなり期待を持っている馬なので、今後も応援宜しくお願いします。」と、感想を語った。井上騎手とタケルオウジを管理する林和弘調教師は今年、バルーンでも重賞・コスモバルク記念(H2)を制しており、今度は若馬でタイトルを奪取した。

　タケルオウジは父スウェプトオーヴァーボード、母ロングビクトリア、母の父タニノギムレットという血統。祖母は函館3歳S(G3)の勝ち馬エンゼルカロで、名牝テスコガビーと同じ牝系となる。1歳時、HBAサマーセールに上場し、567万円(税込)で取引された。馬主は森保彦氏で、生産者は日高町の沖田牧場。門別競馬場に応援に駆け付けた同牧場の佛子さんは、「タケルオウジは早くから素質を感じ、期待していました。2着のハニームーンも生産馬なので、最高の結果となりましたね。母ロングビクトリアは元気に繁殖生活を送っており、1歳は父アンライバルドの牡馬、当歳は父ナカヤマフェスタの牝馬が生まれています。1歳は脚長のタイプで、当歳はどっしりとした馬ですね。タケルオウジはまだ成長の余地があると思いますし、今後も無事に走ってきて欲しいと思います。」と、笑顔を見せていた。