馬産地ニュース

日本一早い2歳重賞・栄冠賞はティーズアライズ

  • 2014年07月03日
  • 差し切り勝ちを決めたティーズアライズ
    差し切り勝ちを決めたティーズアライズ
  • 松井騎手は重賞初制覇
    松井騎手は重賞初制覇
  • 446kgで出走した
    446kgで出走した
  • 喜びの口取り
    喜びの口取り
  • 優勝馬関係者の皆さん
    優勝馬関係者の皆さん

 すっかり夏らしい気候になってきた門別競馬場では7月1日、今年の2歳世代最初の重賞となるTVh杯栄冠賞(H2)[アイルハヴアナザー賞]が行われた。

 距離ダート1200mに14頭が参戦。ちょうど牡牝半々のメンバー構成となった。新種牡馬のアドマイヤオーラ、カネヒキリ、バトルプラン、ローレルゲレイロの産駒もさっそく出走を果たした。人気はリーディング上位の角川秀樹厩舎、原孝明厩舎勢。クリノショウスーシ(1番人気)、ルージュロワイヤル(3番人気)はデビュー戦で抜群の速さを示した角川厩舎勢。同じく人気を集めた原厩舎勢のオヤコダカ(2番人気)、コールサインゼロ(4番人気)は500kgを超す雄大な馬体で、2歳馬らしからぬ迫力を見せていた。

 キャリア1、2戦の馬によるレースながら、ほぼ揃ったスタート。内枠を利してバトルルーラーがハナに立ち、クリノショウスーシが楽に2番手を追走した。スピードを生かしてコンドルダンス、アオジャシン、オヤコダカが先行集団にとりつき、コールサインゼロは行き脚がつかず、ルージュロワイヤルも後方からのレースとなった。3、4コーナーにかけて馬群はかたまり、バトルルーラー、クリノショウスーシが馬体を併せて直線へ。7、8頭が横に広がっての攻防は、内にもぐりこんだフィーリンググー、クリノショウスーシ、外に持ち出したオヤコダカが抜け出しを図るところ、中団に控えていたティーズアライズ、ルージュロワイヤルが末脚を伸ばし、ゴール前は混戦の様相。最後は激しい叩き合いの末、松井伸也騎手の叱咤激励に応えたティーズアライズがグイっと伸び、見事先頭で駆け抜けた。クビ差及ばずの2着にフィーリンググーが入り、オヤコダカが3着に続いた。勝ち時計は1分15秒2(良馬場)。時計のかかる馬場で、後半の上がり3ハロンは39.6秒を要した。

 優勝した松井騎手は福山競馬廃止にともない、ホッカイドウ競馬に移籍した騎手。自身、初めての重賞制覇を飾った。レース後の表彰式、ホッカイドウ競馬もりあげ隊(Facebook)のインタビューでは、「初めて重賞を勝つことができて、すごく嬉しいです。3コーナーのあたりで手応えが十分あり、良い脚を長く使ってくれる馬なので、少し早目に追いだしました。前の馬の脚色を見て、届くだろうなと思いました。反応も良く、思い通りの競馬ができましたね。素直で乗りやすく、軽いトビをするので、芝でも合いそうな気がします。落ち着きが出てくれれば、もっと能力を出せると思います。」と、喜びを語った。管理する小野望調教師は騎手時代を通しても同レースは初の制覇となった。

 ティーズアライズは父ワイルドラッシュ、母ナムラエランという血統の牝馬。1歳時、HBAサマーセールに上場し、189万円(税込)で取引された。生産した杵臼牧場の鎌田信一さんは、「重賞を勝つことは大変なことですから、本当に嬉しいです。前回のレース(ウィナーズチャレンジ競走)は生産馬2頭出しだったので、門別競馬場まで見に行っていました。今回はちょうど牧草時期で忙しく、牧場で応援していました。後ろからきっちり差し切る競馬で、レース内容は濃かったと思います。牧場時代は特にケガもなく、順調でした。今後も無事に、成長して欲しいと思います。」と、語った。

 同牧場には母ナムラエランが繁殖生活を送っており、今年はメイショウサムソンを交配し、受胎した。当歳には父サマーバードの牡馬が生まれていて、元気に育っているという。