北海道静内農業高等学校でサマーバード産駒が誕生
これまでユメロマン、ゴーゴーヒュウガといったJRA勝ち馬を生産してきた新ひだか町の静内農業高等学校で、サマーバード産駒の牝馬が誕生した。
サラブレッドの生産・育成を学習の一環として行っている同高校では、生徒が種付けから出産、せり上場まで携わっている。今回の母ゴートゥザノースの出産にも、生徒と指導者・顧問らが立ち会い、栗毛の牝馬が誕生した。父は昨年亡くなったサマーバードで、貴重な日本産世代の一頭となる。同高校・生産科学科2年生で、馬術部に所属している内山蓮さん、鴻丸未歩さん、酒井優花さん、早川魁人さんが仔馬の担当者となり、来年まで世話をする。初めて生産馬を任された早川さんは、「事前に母馬の引き運動をしていたおかげで、出産はスムーズだったと思います。無事出産が終わった時は安心しました。仔馬はやんちゃで元気いっぱいです。将来は大きな馬に育ってくれるとイメージしています。3年生の先輩からは、当歳馬の手入れの仕方や、引き方のアドバイスを受けました。競馬場でまず1勝できるように、育てていきたいです。」と、抱負を話してくれた。“子育て上手”と生徒たちが口を揃える母ゴートゥザノースは健康に過ごしており、今年の交配相手は凱旋門賞馬バゴに決定。目と鼻の先にあるJBBA静内種馬場への種付けには、生徒たちも多数同行した。
同高校では、母ゴートゥザノースの6番仔となる1歳馬・幼駒名「超最(こすも)」がHBAサマーセール上場を予定しており、着々と育成が施されている。こちらは生産科学科3年生が中心となり、一丸となって仕上げている。父はバゴという血統で、母にとって5年ぶりとなる牡馬。同高校馬術部顧問の池田幸治さんは、「ゴートゥザノースが学校に来てから初めての牡馬です。これまで順調に成長していて、獣医の方からも高く評価していただいています。ベストな状態で上場できるように、生徒たちと日々育成に取り組んでいます。馬を通じて、馬を躾けること、ケガをさせないこと、しっかりとしたウォーキング・立ち姿がとれることなどを学んでいます。競走馬はペットではないことを理解し、可愛がりすぎず、時には馬を叱ったり、褒めたりできるように…このあたりは難しい部分ですが、生徒たちも成長している最中です。」と、近況を伝えている。若き生徒たちを含めて注目の上場となるだろう。
昨年は同高校生産馬でヨハネスブルグ産駒の牝馬・幼駒名「愛里子(ありす)」がHBAサマーセールに上場しており、147万円で(有)キタジョファームが落札。こちらは「キタノユメ」という馬名で北所直人さん所有、美浦・高橋義博厩舎所属馬でJRA競走馬登録されている。